あふれて、こぼれて

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『ただいま…』


収録のあと、急遽ソロの仕事での打ち合わせが入ってしまったわたしがこっそりと宿舎に帰ったときには日付は超えてしまっていて。

本来ならもう少し早めに終わるはずだったけれど、なかなかしっくりくるコンセプトがなくて。長引いた挙句、明日の午前中にも打ち合わせすることになり。


『明日の午前中も打ち合わせが入っちゃった』


わたしを待ってリビングにいてくれたボムギュにそう伝えれば「約束したのに、」とそのままぷいっと部屋に戻ってしまった。


でもそれを追いかけて宥めることは出来なかった。今日のお昼ご飯も、明日のオフの遊ぶ約束も、わたしは守れないから。


だめだなあ、とため息をついたら、ボムギュと入れ替わりに入ってきたスビンは


SB「なんかボムギュが不機嫌だったんだけど…」


と不思議そうにわたしに目線を送る。それに、明日の朝に打ち合わせが入っちゃって、と答えればあーなるほどね、と頷いた。


『また約束破っちゃった』

SB「……あまりAが気にすることじゃないよ、仕事なんだから。ボムギュもわかってると思うけど、それでもあいつすごく楽しみにしてたから」


気持ちの切り替えがうまく出来てないだけだし、気にしなくていいと思う。

スビンにそう言われれば、そっか、とすんなりと思えた。ポンコツだしリーダーらしいリーダーではないけれど、スビンはメンバーのことを一人一人よく見ているし、分かっているから。

そのまま冷蔵庫を覗いてゼリーを取りだしたスビン。どうやら今日の夜食はそれらしい。キッチンに立つ彼に、わたしにもちょうだい、と声をかけたら、持ってきてくれたのはわたしが1番好きなみかんゼリーを持ってきてくれた。



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