夢叶う ページ40
.
宗ちゃんの家に荷物を置いて、部屋を探検したあと予約してもらってたお店に来た。
当たり前だけど個室。じゃないと色々バレちゃうので……。
今回こそはお金を出すつもりで来たけど、明らかに私には厳しい金額のお店に連れてこられた。
宗ちゃんほんとにそういうところなんだよなぁと愚痴を零せば、出させるわけないやんと男前な一言が帰ってきた。
「そういえばね、来年から一軍トレーナーになるんよ」
「何それ!初耳なんやけど!!?」
「まだ球団の中の一部でしか共有されてないもん」
「…………それ俺に言ってよかった?」
「宗ちゃん別チームやし、誰にも言わんやろ?」
「まぁ言わんけどさ!
………でも良かった。やりたい仕事やったんやろ?」
「うん。私の夢。ホークスでトレーナーになるって叶えちゃった」
「おめでとうやん!でも悩んだっぽいね笑」
「さすがに4年も広報やってたら寂しくなるもん。
最初は広報かーって感じで始めたけど、いざ辞めるってなると未練があるね」
仕方ない。リーグ優勝も日本一も見てきて、自分のカメラに喜ぶ姿を沢山収めてきた。
そりゃあ楽しかったし、仕事のやりがいもあった。
未練があるのは当然のこと。
でもずっとそうは言ってられない。
勝つために私が呼ばれたんだから、それに応えられるように頑張らないといけないから。
「交流戦でも会えるな〜」
「公私混同はしないからね」
「それは分かっとるけど!ご飯くらいは……ね?」
「ホークスが勝ったら行ってあげる!」
「こっちが勝っても行ってよ!」
「じょーだんじょーだん笑」
「でもさ、余計にバレない?」
「そう……………バレそう。
てかもう佑京くんが怖すぎる。今度ゴルフで会うんやけどさぁ……」
「絡まれるなぁ笑」
「もー…………」
せめて、せめて今年中は何とかバレずにいきたい……。
1月になれば自主トレ始まるからいじられることも少なくなるから。
あとは宗ちゃんにも迷惑かけたくないなって。
.
441人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミックーリ | 作成日時:2023年4月1日 1時