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「鎖は流石にあれやから指輪買いに行こ。そんで同棲しよ。わんちゃんたちおるでペット可のとこ探して引っ越そ。あ、あと、婚姻届もらいに行こ。出さんけど」
「しげ、落ち着いてや。指輪と同棲……同居はまだええとして、婚姻届って結婚できやんやん」
「ええの、書くの。そんで大切に保管する。お互いの未来を交換する誓約書やからな。あと同居やなくて同棲な」
「話がぶっとびすぎるんやけど」
「そうでもせんと神ちゃんすぐどっかいくやん。あと、婚前交渉は不埒やし」
「こんな感情暴露されたら離れるに離れられんわ! てか、婚前交渉ってなに……?」
「ん? 結婚前にセッ」
「いや、そうやなくて」
「大丈夫。神ちゃんはただされるがままになってればええから」
え、と反論する間もなく立ち上がったしげに遮られる。ほらっ、と差し出された手。それに重ねれば離さないようにと握られる。
「もうそろ撮影始まるやろ」
ずんずんと先を行くしげの照れ隠し。
知っているから微笑ましい。
「なぁ、しげ、」
「なぁに、神ちゃん」
「ずっと隣におってな」
しげが歩みをとめ、振り返った。
「神ちゃんこそ。離れていかんといてな」
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作者名:せろ | 作成日時:2021年3月25日 19時