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「神ちゃんが好き。愛おしさでどうにかなっちゃいそうなぐらい好き。神ちゃんを愛したい。神ちゃんに愛されたい。その権利がほしい。独り占めしたい。神ちゃんが俺との関係を過去にするんやったら、これから先の人生をちょうだい。俺の隣には神ちゃん以外に立てんし、俺も神ちゃんの隣にしかたてんのや」
七年前に手放したはずの赤いリボン。それをしげが再び俺の腕に結び直す。
楽器と言う共通点、作詞作曲という共通点、ジュニア時代の帰りの沿線が一緒だったという共通点、そしてシンメという共通点。
様々な共通点のリボンをしげが俺の身体に結びつけていく。
もう二度とほどけないように。
きゅっ、きゅっ、と念入りに。
露骨な執着だ。あからさまな牽制だ。
それら全てを心地よいと思ってしまっている自分に驚きはしない。
腹の中でのたうち回っていた淀が波打つ。歓喜だ。
「あーあ、折角『過去』することができたのに」
「そんなこと俺がさせん。地味にずっと神ちゃんの言う『シンメだった』にショック受け取ったんよ」
「やってシンメやなかったし、俺のシンメは�陲舛磴鵑笋辰燭�ら」
「俺の隣は神ちゃんしかアカンし、神ちゃんも俺が隣やないとアカン」
「……やったら、もういっそ鎖でもなんでもつければええやん。俺のシンメやって俺に刻んでよ」
しげの喉が鳴った。
顔が離れて視線が合う。
しげになら何もかもを捧げてしまいたかった。
「俺にしげの未来をちょうだい。代わりに俺のをあげる」
泣き笑うしげの顔が少しずつぼやけ出す。
俺も泣いてるのか、と他人事のように思っていると、どちらともなく唇が重なった。
しょっぱくて、甘くもなんともない。
でもそれが俺ららしい。
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作者名：せろ | 作成日時：2021年3月25日 19時
