蓮の花にはならないで【JW赤×緑】 (ページ5)

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安田くんの言葉を受け、俺は楽曲の製作に入った。デビュー当時に比べると仕事量は増えたが、それでも個人仕事は少ないまま。逆にその環境がよかったのか、楽曲製作に没頭できた日々は幸せだった。

　何度もやり直して完成させるも、パソコンの調子が悪くてデータが飛んだことだって合った。受難ばかりで心が折れかかる時もあったが、何か一つWESTの歴史に自分がいた証拠を刻見たいという思いの方が強かった。

　何とか完成させて披露した楽曲は、思いの外受け入れて貰え、アルバムにも収録されることとなった。同じアルバムの中にはしげが作詞した曲もあって、端々から伝わる『しげらしさ』に敵わんなぁ、と思ってしまう。比べるのはよくないとわかっているからこそ、燻る。

　俺としげはこのアルバムを機に楽曲製作をするようになっていった。

　結成七周年目を向かえ、アルバム、シングルと発表させて貰うようになると、ありがたいことに様々な雑誌やメディア媒体などで特集を組んで貰うことが多くなった。

　六周年を迎えてから、なぜだか多くなったしげとのペア。最初の方はぎこちなさを覚えていたが、しげはというとあっけらかんとしていて、返ってそれがありがたかった。

　顔を寄せ合ってとか、抱き合ってとか。アラサーに何を求めてんねん、とついつい言ってしまいそうになるが、プロとして何食わぬ顔を進めていく。

　この日もありがたいことにファッション雑誌の特集で、黒スーツでの撮影を終えると、表紙とピンでの撮影のために白い衣装へと着替えた。

　皆がシャツやジャケットを纏う中、何故か俺だけ両脇の防御力が著しく低いタンクトップで、目敏く見つけたのんちゃんと流星に横から手を入れられまさぐられた。素肌だからこそ皮膚と皮膚の接触に敏感になるのは仕方ないだろう。男という矜持を手放した覚えはないが、触られる度跳ねる身体はどうしようもない。

　なされるがまま、気の済むまで触られているとカメラマンさんがのんちゃんと流星を読んだ。離れ際、のんちゃんにぎゅっと抱き締められ、お尻を触られたがハイハイと送り出す。

　大型犬二匹の相手は流石に堪える。
　
　ぐっと両腕を天井に向け伸ばし、背を軽くそらせていると、骨が軋んだ。

　歳かな、と思うがまだ二十代だと首を振る。俺の撮影は一番最後。カメラマンさんに撮られる流星を眺めていると、背後から唐突に抱き締められた。声はでない。驚きもしない。