バレンタインなんて無理 ページ10
さくら「はぁ。」
美菜「え、何ため息ついてるの？」
さくら「もうやだよ……」
美菜「はぁ？」
机に突っ伏して、前でメイク直しをしている美菜に愚痴る。
さくら「美菜、今日何月何日か知ってる？」
美菜「え、今日は2月…12日…って、あーそういうことね。」
曜日を聞いて大体察した美菜。
そう明後日は2/14。バレンタインなのだ。
美菜「そんなのふつーに菊池に渡せばいいじゃんー。片思いとかじゃないんだし。」
さくら「まあ、確かにそうなんだけど……」
そう言いつつチラッと教室の端を見る。
男女色んな人が集まってる人の輪の中心でケラケラと楽しそうに笑っているのは、黒髪のくせにチャラそうなネックレスをジャラジャラつけた綺麗な顔の人。
学年1のモテ男、菊池風磨くんだ。
そして……1週間前から私の彼氏でもある。
地味なわけでもないけど、なんでいかにもThe平凡って感じの私を好きになってくれたのかは謎だ。
告白してくれたのはまさかの菊池くんの方から。
まさかこの人に告白されるなんて思ってなかったしなぁ。
美菜「初めはさぁ？さくら、めっちゃ遊びだ遊びだって警戒してたよね。」
さくら「そりゃ、だれでも思うでしょ。だってあの菊池くんだもん。」
美菜「でも今ではすごい愛されてるよね。ほら、またアイツさくらの事見てるよ。」
マスカラを塗りながら言う美菜の言葉に反応して菊池くんの軍団を見ると、じっと彼が私を見つめていた。
そして目が合った瞬間、照れくさそうに笑いながら手を振ってくれた菊池くん。
それにボケーっと振り返す私も相当だ。
美菜「全く。ラブラブリア充は見てて疲れるよ。」
メイク直しを終えた美菜が呆れたようにそう言う。
さくら「ちょ、美菜ぁ……」
・
・
・
そういえば、とメイク道具をポーチにしまいながら美菜が話し始めた。
美菜「バレンタインさ、弟くんに手伝ってもらえば？弟くんめっちゃ手作り上手じゃん。」
さくら「……そっか！！その手があったか！！美菜〜ありがとう〜」
あぁなんで気づかなかったんだろ。身近に死ぬ程料理ができる人間がいたじゃないか。
これはもう頼むしかない。。。！！
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作者名：薔桜 | 作成日時：2021年8月22日 20時
