オレンジ リターンズ２ Kento.N

１６話−6 貴女side ページ44

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そんなに遠くない自販機の前に着いてしまう





-ｶﾞｼｬﾝ




勝利くんに頼まれた水を買って




健人くんは、また硬貨を自販機に入れる




A「まだ買うの？」


健人「ちょっとね(苦笑)」





そう言って、健人くんが押したのは


ブラックコーヒーのボタン




A「えっ？健人くん、ブラックは飲めな、んっ」





健人くんに、人差し指で唇に触れられて言葉を遮られた




さっき、准弥さんにされた同じ事をされて




同じように照れたけど


健人くんの指には


いつまでも触れていて欲しいと思った





健人「早く大人の男になりたくてさ」


A「ん？」





言ってる意味が分からなくて、首を傾げてると




健人「このまま、Aを連れて逃げ出したい……」





小さく呟いて、私を見る




その言葉で




まだ、健人くんの心の中に


私は少しでもいるのかな？って


胸をキュンと締め付けられる





健人「わけにいかないか…」


A「ん……」





二人して俯く





健人「A、これ預かってて」




顔を上げたらブラックコーヒーを差し出してる





A「ブラックコーヒーを？」





差し出されたブラックコーヒーを受け取ると




健人「ブラックコーヒーをカッコよく飲めるような大人の男になって、Aを迎えに行くから」





私の目を真っ直ぐに見て




健人くんが言ってくれた





A「健人くん……ｯｸ…」





今度こそ、止められない涙が溢れてくる





健人「あの日、この言葉を言えなくてごめん…」




黙って、首を横に振る




健人「先の見えない都合のいい言葉は言っちゃいけないって思ったから」


A「ん…」


健人「守れない約束はしたくなかったから」


A「ん……」


健人「これは、俺のAへの誓い」





人が、いつ来るかもわからないのにボロボロと涙が止まらなかった




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