オレンジ リターンズ２ Kento.N

１２話−5 健人side ページ20

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Aの部屋の前




運転しながら、ずっと考えてた




本当に別れなきゃいけないのかな？って……




お互いに想い合っているのが分かってるのに




どうして離れなきゃいけないんだろう？って






インターホンを押そうとして


『帰って来ないで』ってメールの文字が頭をよぎる





とにかく話をしなきゃ




-ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ




今までなら、これを鳴らす時はAが笑顔で出迎えてくれる合図だったのに



今は、心の中に虚しさしか広がらない







A「……ﾊｲ…」



消え入りそうな、小さい声で返事が聞こえた





健人「俺」


A「ｺﾞﾒｯ………開けたくない」


健人「メールで…さようならは、ないんじゃない？話、しよ？」






Aの返事がない代わりに



扉が開いた






Aの顔は、泣き張らした顔で



生気がない




何も言わずに、背中を向けて部屋の方に入って行く




その後ろ姿は、とても遠くて




触れるのも、躊躇ってしまう







健人「昼ご飯は、食べた？」




Aの背中に問いかけた





やっぱり心配だから




メールの内容に触れる前に聞いておきたい





でも、Aは首を横に振るだけ





健人「そっか………少しでもいいから食べるように言ったのに…」


A「食欲なくて……」


健人「それでも、食べて欲しいよ…」


A「ごめん………」


健人「俺の為じゃない、Aの為にだよ？」






今、どんな顔をしてる？




揺れてる肩で、Aが泣いてるのが分かるよ







健人「中田さんと話して来た」


A「………何を？」


健人「Aからのメールのこと」


A「………メールの……通りだから」





俺は、Aの嘘に騙されたらいいんだよね？







健人「約束したばっかだったのに、あれは嘘だったんだ？」


A「………ごめ…ん、なさい…」


健人「酷いよね…ずっと愛してるって言ったのに、俺の側から離れないって言ったのに………」





もう、Aは何も語らなくて




肩を上下に揺らしてるだけ




やっぱり……





こんなのおかしいでしょ！





Aに近付いて後ろから抱き締めた




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