【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ10)

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水曜日のOOTD ページ10

「A、詰め替えといて」

食堂のキッチンの作業台の上には、数種類の業務用のキムチがドーンと置かれている。
そしてその横には各テーブルに置くキムチを入れるポッドが並べられていた。

「あーまた服がキムチ臭くなる…」
「この通りはどこ行ったってキムチの匂いするんだから気にすんじゃないよ」

確かにこの通りは韓国料理店が多く並んでるから、どこかしらの店の換気口からはニンニクの匂いはしても仕方ない。

「電車に寝る時が気になるんだってば」
「電車に乗らないでバスに乗れば良いじゃない」
「そういうことじゃないんだけど」

自分から匂ってくるのがキツいんだよ。
家帰ったらシャワー直行だもん、いつも。

「あ、分かった」
「…なにが？」

トングでキムチを詰めてると、お祖母ちゃんは作業止めて振り返る。

「今日、水曜日だから気にしてんだろ」
「…………言ってる意味が分からないけど」

嬉しそうなお祖母ちゃんの顔を軽く睨む。

「なんかいつもより綺麗な服着て。髪もきちんと結んでるし」
「は？いつもやってますけどー？」
「いつも刈る前の稲みたいな頭してるのに」

何それ。
いつも私どんな頭してんの。

「Aも女の子だね」
「…そうだけど？」
「あ、どうせなら帰りはソンフニと一緒に帰れば？」
「……………」

お祖母ちゃんは知らないんだけど、実は水曜日はソンフンさんと一緒に帰っている…。
だから、匂いが気になるんだってば。
だから、服もいつものパジャマ兼用じゃないんだってば。
だから、だから…

「私が言ってやろうか？送ってあげてって」
「いや、いい」

とにかく人前に出れる格好じゃないと、王子に失礼でしょ。

「恥ずかしがっちゃって」
「いいよもう、着替えるから」

そう言って私はキッチンを出て、2階に続く階段へ向かった。

「ああいうこと言って来るから、コソコソしてんのに」

前にあった電車での事件から、ソンフンさんが食堂に来る日はいっしょに帰ってくれることになった。
出来るだけ一緒にいた方が安心すると、あっちから言ってきてくれたんだよね…
練習帰りで私よりも疲れているはずなのに、なんて優しい人なの。

「あ、このTシャツこんなとこにあった」

お祖母ちゃんの部屋にあるタンスの奥に気に入っていた自分の服を見つけた。
引っ張り出してすぐに着替え、すぐ横にある鏡を覗いた。

「はぁ…気に入ってはいるんだけど、ダサいなぁ」

今度、ホンデにでも行って服買って来ようかな…