【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ48)

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治外法権ページ48

あれからずっと、ぐるぐると頭の中で渦巻いて消えないことがある。
ソンフンさんがもう会えないことを教えてくれて、もしかしたら力くんやみんなともそうなる可能性が出て来たこと。

「今日さー、ご飯食べてたらすごい人に会っちゃってさ。めっちゃ見てたら目が合っちゃった」
「…へー良かったね」

呑気に話してるこの子とももしかしたら、マジで別世界の人になるのかと思うと…

「何でそんな泣きそうなの」
「歳なのかな…」
「…メンタル大丈夫？」

ヘラってる私を見て力くんはドン引きしていた。

「あ、そうだ。ジェイクヒョンも番組出るんだって」
「えっ…、まぁそうか…そうなるよね」
「一緒にデビュー出来たら良いな」

そしたらソジュも寂しいだろうな。
ほぼジェイクさんの飼い犬だったし。

「ところでAちゃんはいつ日本に帰っちゃうの」
「あー、あと3週間ぐらいかな」
「また来るでしょ？」

少し寂しそうな顔で力くんは私を見る。

「ま、あっちの学校次第かな。帰ったら遅れ取り戻さなきゃいけないし」

夏休みも課題でほぼ学校に行かなきゃならないと、クラスメイトから聞いていた。
本当は夏休みもこっちに居ようかと少し思ってたけど、多分無理だろうな。

「じゃあ…しばらく会えないんだ」
「そうなるね…」

あ…また来る、この感傷的になって泣きそうになる感じ。
もうこの前ソンフンさんの家で散々泣いたと言うのに。

「力くんがデビュー出来なくなって日本に帰って来たら遊ぼ」
「やめてよ、縁起でもない」
「今のところまた会えるって言ったら、その可能性しかないでしょ」
「いやそうだけど、それでも応援してるとか言ってよ」

多分この子はデビュー出来た後のこともよく分かってないんだろな。
なんかソンフンさんとはテンションというか考え方が違い過ぎる。

「…若いな、まだ」
「ひとつしか変わらないでしょ」
「人間は1年で歩けるようになるんだよ？力くんが生まれた頃、私はもう歩いてたんだから」
「…でも僕はもうAちゃんより走るのも早いし、なんなら誰よりも上手く踊れるし」

あーあ、こういうどうでも良い会話も出来なくなるのか。
そう思うとなんだか余計にエモくなって、また泣ける。

「別に私、踊る必要ないし」
「じゃあ何が出来んの？何も出来ないじゃん」
「年上に向かって…韓国に住むならもっと年上を敬いなさいよ」
「ここは僕にとって治外法権なんで」
「くっ…」

なんでそんな使い道のない難しい単語を覚えてくんの…。