【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ47)

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大好きだったよページ47

「それって…一生、連絡取れないんですか」

大丈夫？その番組。
地下労働場で働かせられて謎の通貨で買った缶ビール飲むのが唯一の楽しみとかじゃないの？

「一生はさすがにないと思うけど」
「良かった…」

安心したのも束の間、ソンフンさんがため息をつく。

「もしもデビュー出来たら、自由な時間はほとんどないと思う」
「え…？」
「先輩たちの話聞いてると、グループで一つ屋根の下に住んで…睡眠時間も削って仕事して、プライベートもほとんどないって言われた」

え、やっぱり通貨はペリカ…？

「それはいつまで続くの…」
「分からない。デビューしてみないとね」

そうなんだ…
今こうして偶然会ったり、その日の気分で遊びに行ったりも出来ないんだね。

「デビューするつもりだから」

私を見る目に強い決意が感じられる。
そうだよね、じゃなきゃスケートと掛け持ちでアイドル練習生なんて出来っこない。

「分かった…」

笑顔で応援しないと。
なのに、胸の奥がなんか急に苦しくなって勝手に涙が出てくる。

「Aさん…」
「うー…ごめんなさい、脚は痛くないです」
「そっか、よかった…」

いや泣きそうな顔して笑わないで、それ見ると涙が止まらなくなる。

「応援してますね。陰ながら」
「うん」
「あとで…サインください」
「うん…いいよ」

私のお願いにもソンフンさんは笑顔で頷いてくれる。
あー、この笑顔を生で見れるのも最後なんだな。
短い間だったけれど、食堂に通って私の作ったご飯をいつも美味しいって食べてくれたこと。
今日みたいな日や、電車でピンチの時は私を助けてくれたりしてくれたことも。

「今日、会えて良かった…ずっと言いたかったから」

そんな色んな思い出がこういう時にたくさん出て来て、感情がコントロールできなくなるな。

「ありがとう、大好きだったよ」

その言葉で一気に感情が崩れ落ちて、膝を抱えて泣いてしまった。
人の家で大号泣してる場合じゃないんだけど…
とにかくソンフンさんの家族がお出かけ中で良かった。

「…ごめん、ちょっと頭冷やしてくる」

ソンフンさんが鼻声でそう言うと、私の側から気配が消えた。
代わりに私の足元に来たのはソジュだった。

「早く治さないとね……」

脚の腫れはだんだんと引いている。
治ったら、そうすれば家に帰れる。

「この家でいつまで泣けば…良いの…」

分かってるけど。
まだ少し、このままで居たかった。