【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ45)

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シムクン出来ないページ45

ソンフンさんに背負われてる状況、きっと韓国ドラマが好きな人は憧れるシチュエーション。
酔っ払ったヒロインをイケメンがおんぶして真夜中の誰も居ない街を歩くってやつ。

「あー恥ずかしい」

でもシラフの私は人の多い明るい街中で注目を浴びまくり。
残念ながら、シムクンならず。

「実は僕も恥ずかしい」
「ですよね…すいません」

あれから私の傷口の血は止まったけど、逆に腫れが酷くなってしまった。
そのせいで歩くとズキズキと痛みが増し、ソンフンさんが言うには氷で冷やさないと…ということで移動の真っ最中。
どこに移動するかは分からないんだけど。

「着いた」
「…どこですかここ」

随分と大きな家だけど、隠れ家風のクリニック…？

「僕の家」
「……え？」
「隣の駅に住んでるって言ったでしょ」

私を背負ったままソンフンさんは、器用に鍵でドアを開けた。

「え、そんな…悪いですって」
「でもさっきの場所からウチが1番近かったし」

私を玄関の段差に座らせて、足から靴を脱がそうとする。

「や、それくらいは出来ますって」
「分かった」

クスッと笑うとソンフンさんは足元にいたソジュのリードを外し、タオルで脚を丁寧に拭いてくれた。

「何から何まですいません…」
「じゃあ行くよ」
「あっ、え、ちょっと」

今度はいわゆるお姫様抱っこそれてしまい、さっきとはちが対面になったせいで顔が近過ぎてやばい。
そういや、図書室で似たようなことをジェイ先輩にもされたけどあの時は走ってたせいで違う意味でドキドキしてたっけ…
落とされるんじゃないかって恐怖が強かった。

「降ろすよ」

ソファにゆっくり降ろしてもらって、やっと呼吸ができる。

「ここで待ってて」
「あ、はい…」

するとすぐにソンフンさんはどこかに行ってしまった。

「うわー大きなお家」

さっき通って来た廊下も長かったから豪邸なのは分かってたけれど、何このリビングの広さ…
ソヌ先輩が思う存分ここでパーティー出来るくらい縦にも横にも大きい。

「氷持って来た。脚出して」
「はい…」

さっきの傷口に巻いたテーピングとタオルを外して、ソンフンさんは持って来た氷嚢を私の脚に当てる。

「冷たくない？」
「ちょっと…でも大丈夫です」
「我慢してね、じゃあこれ持ってて」

そう言うとソンフンさんは私に氷嚢を持たせて、またどこかへ行ってしまう。

「ソジュシ…」

ふとソファの下を見ると、ソジュが自分の家のようにくつろいで寝ていた。