【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ5)

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寝起きの悪い犬ページ5

タクシーの中でソヌ先輩に、バ先での経緯をカトクで伝えた。

『何でよりによってヒスニヒョンに代わったの！』

先輩の焦り具合はよく分かる。
事務所の先輩が自分の代わりにヘルプ入るって縦社会の韓国で考えたらとんでもないことだと思う。

『あーもう、僕クビ確定だわ』
『そもそも先輩バレてたみたいですよ、あの店で働いてたの』
『嘘でしょ！？』

あ、本当にバレてないと思ってたんだ…
これもしかしたら他の人にもバレてんじゃないの？

『とにかく後で謝ってくる』
『大丈夫ですよ、約束したから』

ソヌ先輩ファイティーン。
でもヒスンさんは怒らなそうだけどね。
最近の態度を見て、何となくだけど。

「ただいまー」

家の前でタクシーを降りた私は、灯りのついた家へと入る。
ジェイ先輩が綺麗にしてくれた玄関は、いつも力くんのスニーカーでごった返してたのが嘘の様。

「あれ、これは」

見慣れない革靴。
こんなの、力くん履いてたっけ？

「え」

リビングに行けば、ソファで眠るお馴染みの西村力。
そして床でクッションを枕にして寝る犬。

「…ジェイクさん？」

じゃなかった、人間。

「ソジュ抱っこして寝てる…かわいい」

犬の親子みたい…。

「ジェイクさん、起きて。床で寝たら全身筋肉痛の上に風邪引いて、明日が終わりますよ」

床にしゃがんで声を掛ける。
これだけ言えば起きるだろう。

「え…」

そう思った次の瞬間、ソジュが反応して目を開けた。
するとジェイクさんの腕から抜け出す。

「君に言ったんじゃないんだけど？」

クスッと笑いながらソジュを見てると、床でもぞもぞとジェイクさんが動くのが見えた。

「寒い…こっちおいで」
「え？」

急に腕を引っ張られた私は予想外の展開に、そのままジェイクさんの体に雪崩れ込む。

「はーあったかい…」
「待て待て」

私をソジュと勘違いして抱きついて来た。

「ジェイクさん、起きて」
「大人しくして…」
「違う違う、私は人間ですって」

初めてこんな自己紹介したな…。
いや、そんなこと言ってる場合じゃない。

「うーん、行かないで」
「待って、どこ触ってんの…ちょっ」

お腹の辺りに手が回って来て、完全に背中を取られた。

「もう、ジェイクさんてば！」

身体を回転して向き合うと、ジェイクさんの胸を押して腕から抜け出そうとした。

「起きて！」
「なに…？」

だからジェイクさんに言ったんだって。

「…何してんの、Aちゃん」

西村力に言ったんじゃないのに。