【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ40)

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素直になれないときページ40

「伝えるって、どうやって？」
「え、今言ったことをそのまま」
「そんなの…」

少し呆れた顔でヒスンさんが私を見た。

「だってヒスンさんが素直になれないから」
「そうだけど…」
「それにさっきから私にはめちゃくちゃ本音言えてるし」
「それはAがジェイじゃないから」

その人に言いたいことを言えない時って、なぜ他人には言えるんだろうか？
相手との関係性もあるんだろうけど、きっと相手の反応を知るのが怖いからだろう。
勇気を出して謝って、もし拒否されたら？
相手のことを大事に思うほど、恐怖心は大きくなる。

「じゃあもし…偶然、この会話を聞いてたとして」
「…誰が？」
「ジェイ先輩が。そしたら言いやすくないですか」
「そうかな」

ヒスンさんが首を傾げ、持っていたコーヒーを一口飲んだ。

「いきなり言うより下準備があった方が、話しやすいかなって」
「そんな、告白するんじゃないんだし」
「似た様なもんですよ…どっちも自分の気持ちを伝えて、相手の気持ちを知る方法だし」

ドヤってるけど告白も謝罪もしたことない。
他人の悩みって何でこんなに偉そうに言えるのか。
自分のことになるとウジウジと鬱屈してるくせに。

「似た様なもんかなー」
「私なら嬉しいですけどね。テンプレみたいな言葉で言われるよりも、相手の素直な気持ちなんだなって思えるし」
「ふーん…」

私の言葉を聞いて納得した様な、してない様な顔。
でもジェイ先輩と対面した時よりも、ヒスンさんの表情はいつもの様に穏やかだった。

「ということで…今日はお疲れ様でした、私は帰りますね」

公園の入り口まで歩いて、私は大通りを見回す。

「え？ここで？駅まで送るけど」
「私はあの人たちに送ってもらいます」
「は…？」

ソヌ先輩とヤンくんが少し離れた所に居て、手を振っている。

「いつの間に」
「なので、ヒスンさんはあの人に送ってもらって下さい」

私がそう言うと、その後ろからジェイ先輩が現れた。

「まさか…」

怪しむ様に見るヒスンさんに私は、ポケットからスマホを出して見せた。
売店でジェイ先輩と少し会話してからずっと、通話はまだ終わっていない。

「これで下準備は終わりです」

そう言ってずっと続いていた通話を終わらせた。

「じゃあ…ここで。次は私の好きなとこに連れてって下さい」
「分かった。また連絡するよ」

笑顔で手を振って、私はジェイ先輩とすれ違う。

「ありがと」

その声に振り返ると、先輩が恥ずかしそうに微笑んでいた。