【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ35)

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チキンをペダルページ35

「お待たせしました」
「すみません、本当に…」

注文してしまった料理を全て持ち帰りにして貰って、私は帰る準備をする。
ヒスンさんにカトクしたけれど反応はなかったので。

「悪い、邪魔して」

めずらしくシュンとしたジェイ先輩が謝ってきた。

「何があったのかは分かりませんけど…元気出して下さい」
「うん…」
「じゃあ、皆さんごゆっくり」
「えーもう帰っちゃうの？A」

ソヌ先輩が腕を掴んで引き留める。
その隣でヤンくんが放心状態になっていた。

「その前にヤンくんの誤解を解いておいてくださいよ」
「さっきから説明してるけど…」
「けど？」
「2人が知らないところで会ってたり、今日みたいなデートしてたのもショックだったみたいだよ」

ん？何を話したんだこの人は…

「デートしてませんよ」
「じゃあ今日は何で会ってたの？」
「ソヌ先輩のせいじゃないですか」
「ソヌヒョンのせい…？」

あ、やば…また話拗れ出すわコレ。

「ま、とにかく良い感じにしといて下さいよ」
「ちょっと、丸投げやめてよ！」

引っ付いてくるソヌ先輩からうまく逃げたした私は、大量のお持ち帰り袋を手に店から出た。

「さてと…どうしようか、これ」

食べきれない物は大体持ち帰りできるシステムがあって良かったけれど、さすがにこれ全て家で食べるのもキツイな。
力くんがチキン大好きだと良いんだけど…。
あ、ジェイクさんも呼んでウチでチキンパーティーでも開こうか？

『新着メッセージ:ヒスン』

スマホで力くんに連絡しようとしたら、お知らせのポップアップが画面に現れる。
少し前にヒスンさんにカトクでメッセージ送ったけれど反応ないから、店出てきちゃったよ。
これで戻るとか言われたらどうしよー。

『勝手に出てごめん。チキンの代金は弁償する』
『それは良いですけど、チキンを持ち帰りにしたんで貰って下さいよ』
『じゃあウチ来て』
『配達したらすぐ帰りますよ』

そんな会話をしてたら、住所が送られてきた。

「え、食堂から本当近いじゃん」

ヒスンさんが住んでるひとり暮らしの家はウチの店から歩いて5分圏内。
だから今まであちこちで偶然会ってたのか…。

「ヨンサン食堂までお願いします」

タクシーを止めて、運転手に伝える。
すると運転手さんが振り返って、私に笑顔を見せた。

「もしかして…ヨンサン食堂のお孫さん？」
「え…何でそれを」
「おじさんのこと、覚えてない？」

…うん、覚えてない。
と、心の中でつぶやいた。