【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ31)

今日:48 hit、昨日:49 hit、合計:15,120 hit

ここは人気のチキン通りページ31

現地に到着すると土曜日の夜だけあって街も店も沢山の人で溢れかえっている。
お目当ての店はもちろんその類に漏れず、人気店というのも加味してウェイティングに1時間と言われた。

「1時間…本当にみんな待ってんの？」
「どうします…帰ります？」

私の提案にヒスンさんは不機嫌な顔を見せる。

「腹減ってるから待つのは無理だけど、このまま帰るのも嫌」
「じゃあチキンは諦めますか」
「それも無理。今お腹がチキンの気分だから」

あれも嫌これも嫌って、わがままなお姫様じゃないんだから…。

「あ」
「何ですか」
「テイクアウトしてウチで食べよう」
「それは無理」

警戒心を覚え始めた私には無視できないその案。

「じゃあどーすんの」
「待てば良いじゃないですか。空腹は最高のスパイスと言いますし」
「えー」

駄々をこねるヒスンさんの腕を引っ張って、私は店員さんにウェイティングのリストに名前を入れてもらう様にお願いする。
席が空いたら私に連絡が来るので、それまで時間潰し。
とはいえ、ここは外国人観光客もたくさん来る観光街なので時間を潰そうと思えばどこにでもある。

「結局、屋台で買い食いですか」
「だって目の前にあるのに食べないなんてもったいない」
「あんまりお腹いっぱいにしないで下さいね」
「わかった…あ。次あれ食べよう」

食い倒れるつもりですか？
と聞きたくなるほど、あっちこっちに目移りしてる…

「ちょ、この後肉食べるのに肉食べてどうするんですか」

なんか5歳児連れてきたママの気分。

「…これ牛肉だから」
「そういう問題？」

食欲に爆速で火が点いたヒスンさんを取り押さえて、私たちは屋台が並ぶ通りから外れる。

「まだ食べたいものあったんだけど…」
「私のことは忘れても、チキンのこと忘れないでください」

サムギョプサル屋でも思ったけど…この細い体のどこに食べた物が入り、簡単に消費されているの？って不思議でしょうがないくらいこの人は食いしん坊だ。
もし付き合ってデートで外食したらお金がいくらあっても足りなさそう…
いっそジェイ先輩の家に連れてったら全てが解決出来るのでは？

「あ！Aじゃん」
「え、何で…ここに」

ソヌ先輩が声を掛けてくる。
屋台を恋しそうに見ているヒスンさんには気づいてない模様。

「Aにチキン屋さん教えたでしょ？それで僕も食べたくなったから、ジェイヒョンとジョンウォニ誘って来たんだよ」
「…そうですか、では」

さぁ、逃げよ。