【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ30)

今日:2 hit、昨日:58 hit、合計:15,132 hit

ヒスンオッパページ30

土曜日の夕方、ヨンサン駅の待ち合わせ場所へ急ぐ。

「やっば、もうこんな時間」

電車が遅れたせいで、待ち合わせ時間はとっくに過ぎていた。
さすがにお詫びのためにセッティングした約束で大遅刻って失礼すぎる。
すると目の前の通路に集団の男子たちが固まって歩いていた。

「なーお前どーすんの」
「正直言ってまだ悩んでる」

あー邪魔だな…
なんで学生って集団で歩いて道を塞ぐの？

「3ヶ月は厳しいよなー」
「その間スマホも取られるって」
「まじで…俺生きてけないわ」

スマホくらいなくったって生きていけるよ！
って言いたかったけど、この子達ってもしかして…

「あれってイ・ヒスンじゃね」
「ホントだ…」
「久しぶりに見た」

いやもう絶対、練習生の子達じゃん。

「何であんなとこ居るんだろ」
「今日来るのかな」

話がよく見えないんだけど、今ヒスンさんの前に出てって声掛けるのかなりマズイよね…。
どーしよどーしよどーしよ。

「A、こっち！」
「えっ」

練習生の子達の後ろにいた私を大きな声でヒスンさんが呼ぶ。
案の定、それに気づいた彼らがヒスンさんの目線を追って私のことに気づいた。
怪しまれる目を掻い潜って、私は意を決する。

「オッパ！お待たせ！」
「え？」

ヒスンさんに向かってそう言うと、彼らの後ろから抜け出す。

「久しぶり、実家に全然帰ってこないから心配してたんだよ？」
「…………ふ」

ヒスンさんが私の嘘くさい演技に吹き出す。
良いから今だけ付き合えって。

「オンマも待ってるから早く行こ」
「…オンマねぇ」

鼻で笑いながらヒスンさんは私の肩を抱いて、一瞬だけ練習生の子達を見た。

「なるほど」
「笑ってないで行きますよ」

小さい声で促すとヒスンさんが私の手を握る。

「ちょ、何してるんですか」
「え？溺愛してる妹に久しぶりに会えて嬉しいオッパ役」

ぶんぶんと見せつけるように振って、ヒスンさんはその場からやっと歩き出した。
あー、後ろでこっちを見ているであろう練習生たちがどんな顔してんのか見るのが怖い…。

「オッパ呼びってそんなに嬉しいか？って思ってたけど実際呼ばれると嬉しいもんだな」
「もう呼びませんけどね」
「なんで？彼女になったら呼ばせるけど」
「それは、ご自由にどうぞ…」

私じゃないことを願いますけど。