【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ27)

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クマじゃなくてライオンページ27

『土曜日の夜がいい』

ヒスンさんに予定を聞くと、そんな答えが返ってきた。
ソヌ先輩から聞いたお店はミョンドンにある。
あそこら辺は観光客がいっぱいだし、混んでそうだけど。

『お店の地図送りますね』
『一緒に行かないの？』

現地集合、現地解散しか頭になかったな…。
チキン食べることしか考えてなかった。

『ヨンサン駅でいいですか』

すぐに既読が付いてスタンプが送られてくる。
出た出た、このクマ。
敬礼してるバージョンだ。

「何笑ってんの」
「え？」

学校にある自販機の前でメッセージを見ていた私にジェイ先輩が声を掛けてくる。

「このクマ、かわいいなって」
「………これクマじゃないよ」
「えっ？クマでしょ」
「確かライオンだった気がする」

たてがみがないライオンらしい…
ちゃんと設定があるんだ。

「んで、誰とチキン屋に行くの」
「あ」

無邪気にトークの内容見せちゃったじゃん、私。
いや、でも別に悪いことしてる訳じゃないから隠す必要は無いんだけど…。

「えっと…ハンガンで知り合った、人と」

どこまで説明していいものか分からない。
ジェイ先輩はヒスンさんのこと知ってるのかな？
ソヌ先輩は知ってるけど親しくはなかったって言ってたし…

「は？ナンパってこと？」

あれ、これ簡単に言うとそうなっちゃうのか？
確かに初めて会った時は友達に捕まったのが最初だった様な…

「ナンパされたのを助けて貰って」
「結局ナンパじゃん」

怖い怖い怖い…
めっちゃ睨んでくる。

「行くのやめろ」
「でも良い人なんです」
「最初はみんな良い人なんだよ」
「でも、意外と紳士だし。面倒見いいし」

するとジェイ先輩は私の手を掴んで、急ぎ足で歩き出す。

「何ですか、授業始まりますよ」

着いた先は図書室。
図書室どんだけ好きなの。

「行かせられない」
「授業に？」
「違う、ナンパのとこ」

いつもと何か雰囲気違うのは伝わる。
イライラしてるのが私の手を掴む力で何となく分かった。

「絶対…とは分からないけど、大丈夫ですって」
「お前全然分かってないよ」
「分かってますよ」
「俺の方が分かってる。何ならお前のことも分かってる」

いや、どういうことよ？
意味不明なロジック言われても。

「だから…一緒に行くのは、ジェイ先輩の先輩だから」
「は？誰だよ」
「イ・ヒスン」

その名前を出すと私を掴んでいた手が離れた。

「イ・ヒスン…？」
「そうです。バスケが得意なイケメン」

雑な説明でごめんなさい、ヒスンさん。