【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ14)

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私より先にページ14

家に着いてドアを開けるけど、電気が付いていない。
もう力くんは寝てる？

「ただいま…」

リビングの明かりをつけると見えたのは寝ているソジュだけ。

「居ない」

力くんの部屋のドアをそっと開けて中を見ても、ベッドにもどこにも居なかった。

「めずらしいな…まだ練習？」

さすがに未成年だし、事務所が何の連絡もなしに練習生を拘束するわけないだろうし。

「電話？来てないけど」
「そっか…」
「私が聞いてみるよ、誰か出るだろ事務所も」

お祖母ちゃんのところに連絡来てると思って聞いたけど収穫はなし。
え、どうしたんだろ…本当に。

『今日は俺は用事があって休んでるから知らん』

最近仲良くしてるジェイ先輩に聞いても分からない。

『ニキなら先に帰ってったけど』

仲のいいジェイクさんも行方を知らなかった。
あと力くんを知ってるのはソンフンさんだけど、私とさっきまで一緒に居たから知るわけないよね。

「まさか事故に遭ったりしてないよね」

だんだん不安になってきちゃった…
こんな時間に探しに行くのも怖いけど、カトクしても電話しても出ないってやっぱり何かあったよね。
取り敢えず最寄駅の前まで行ってみようかな。

「行くなら早く行かなきゃ」

鍵と財布とスマホだけ持って、私は念のためソジュを連れて外に出る。

「ちょっと待ってねぇ…」

家の鍵を閉めてる間、ソジュは散歩に出掛けると思ってんのかピョンピョン飛び跳ねていた。

「どうしたの？」

するとソジュがピタッと動きを止める。
足元にいるソジュを見ると、どこか遠くの一点を見つめていた。

「何…？」

するとソジュの目線の先には一台のタクシーが停まっている。
そこから出てきたのは力くんだった。

「何だ、無事だっ…た？」

力くんの後ろから1人の女の子が降りてくる。
親そうに力くんの腕に腕を絡ませて微笑んでいた。

「ちょ、静かにして！」

なぜか唸るソジュを連れて、私は家の裏庭へと逃げ込む。
足音がなかなか聞こえないので、そっと顔をすこーしだけ出して家の門の方を覗き見た。

「何話してんだろ…」

タクシーを待たせたまま、2人は家の前で話し込んでいる。
まさか、あの子連れて来ないよね…

「えっ」

すると突然、女の子は力くんの頬に顔を寄せた。

「マジかよ…西村力」

え、彼女出来たってこと！？
私より先に…！？

「あ、しーっ！しーっ！」

ソジュが吠えて、2人が離れる。

「やば、こっち来る！」

私はソジュの口を押さえて、再び裏庭に隠れた。