【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ12)

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帰り道ページ12

いつもはウチのお店から3軒先のコンビニで待ち合わせしてたんだけど。
今日だけはお祖母ちゃんに見送られながら2人で店の出入り口から出た。

「じゃあ、宜しくねー」
「はい」
「おやすみー」

ま、今日で終わりなんだけど。

「…………」

いや、気まずっ。
お祖母ちゃんが余計なこと付け足して、ソンフンさんにお願いしたせいで急に一緒に帰るの恥ずかしくなっちゃったじゃん。

「何してるの…？」
「え…あ、変な匂いしないかなーって」

服をくんくんと嗅いでいたら、隣のソンフンさんに不思議そうな顔された。

「何の匂い？」
「いや、気にしないでください」
「…香水の匂い、少ししたけど」
「えっ」

私の手首を掴むと、ソンフンさんが鼻を近づけた。

「お店に着いた時に、一応洗ったんだけどな…」
「洗っただけじゃ簡単には落ちないよ」
「へーそうなんだ」

平気なフリして答えてるけど、ソンフンさんに手首を掴まれたままでめちゃくち恥ずかしいんですけど？

「あの香水付けてるんだ」
「まあ、もったいないんで」
「それじゃ、今度プレゼントするよ」

そう言って掴んだ私の手首を滑って、彼の手は私の手のひらに流れる。

「そしたら次から僕のをつけて」
「え…でも…」

そして手を繋がれた。

「…だめ？」

ああ…そんな顔されて断れる女がこの世にいると思ってる？
ただでさえ恋人繋ぎされて緊張MAXなのに。

「だ………ダメ…じゃない…」

苦し紛れにそう言うと、隣からクスクスと笑い声がきこえた。

「ごめんごめん」

そう言ってソンフンさんは私の手から自分の手を離した。
はー…息が止まるかと思ったよ。

「こういうの、苦手だもんね」
「分かってるのに…」
「最後だから良いかなって。調子に乗っちゃった」

最後と聞くと、何だかちょっと切なくなった。
コソコソ帰る必要はなくなったけれど、帰り道にソンフンさんと色々と話して帰るのは楽しかったし。

「また来てください、本当に暇な時で良いんで」
「…うん」
「納豆、たくさん用意しておきます」
「はは、ありがとう」

あ、駅に着いちゃうな。
そしたら電車乗って、20分くらいでバイバイだ。
なんか急に、帰りたくない気分になってきた。
いつもなら早く帰ってシャワー浴びたいのに…。

「どうしたの？」

急に立ち止まる私に、少し先を歩いていたソンフンさんが立ち止まって振り返った。

「あのー」

なんか言わなきゃ、って思うんだけど…
何も出てこないや。

「…今日は、すこし歩いて帰る？」