【EN-】ようこそヨンサン食堂へ(仮)-3 (ページ11)

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お願い王子様ページ11

「いらっしゃいま、せー」
「こんばんは」

いつもの時間に王子様来店。
ソンフンさんが店に入るだけで、この寂れた…じゃなくて味がある食堂が明るくなる気がする。

「いらっしゃい」
「どうも」

なぜかお祖母ちゃんがキッチンから出て挨拶する。

「ね、ソンフニ。お願いがあるんだけど」
「え？」

わざわざソンフンさんの席まで行って何言うつもり…？
まさか、帰り送ってやってーとか言うんじゃないんでしょうね。

「ちょっと、お祖母ちゃん」
「実は言い辛いんだけど…」
「何ですか？言ってください」

やめてやめてやめて。

「お祖母ちゃん、ちょっと黙ろうか？」
「水曜日なんだけど」
「はい」

あーもう帰ってるんだよ一緒に！

「これから定休日にしたいんだよね」
「やめてよー…って、え？」
「定休日…」

あれ？
思ってたんと違う。

「実は、水曜日の夜に夜間透析することになってね。ちょうどソンフニがくる時間に重なっちゃってるんだよ」
「そうだったんですか…」

そうだったんですか…。

「…って、私も今聞いたんだけど？」
「先週言ったでしょ、晩飯食べてる時に」

先週の晩飯のことも思い出せない…
私の頭、もうこの年でお祖母ちゃんに負けてる…

「曜日を変えて貰おうと思ったんだけどね…まあ融通が効かない病院でさ」

お祖母ちゃん残念そう…。
私と違ってイケメン好きだもんね。

「仕方ないですね。僕が曜日を変えられたらいいんだけど、難しいかな」
「そうか…残念だね」

あれ？
これってもしかして…
もうソンフンさんがウチの食堂に通わなくなるってことなの、か？

「もし他の曜日に時間作れたら、必ず来きますよ。ここに通うのは僕の楽しみの一つだから」
「そう言ってくれると嬉しいよ」

そうか…そうなるよね。
ソンフンさん、学生とフィギュアスケーターと練習生の掛け持ちで毎日忙しいもんね。
確かに確かに…
わざわざ時間作らないと行けないよね。

「じゃあ、そう言うことで。お母さんにもよろしく」
「分かりました。わざわざ教えて頂いてありがとうございます」

ちゃんと椅子から立ち上がって、ソンフンさんはお祖母ちゃんに頭を下げた。
私はそれをただぼーっと見ている。

「あ、そうだ。ソンフニ、今日の帰りにこの子送っててあげて」
「…え」
「は？」
「あんたに会うためにオシャレしてきてるからさ。無駄にならないように最後に相手してやってくれよ」

結局言うんかい。