初恋のひと ページ44
家の前まで来ると、ソンフンさんは私の目の前に立つ。
「…連絡、くれてありがとう」
いつもの爽やかな笑顔で私に言う。
「もう、このまま一生会えなくなったら…どうしようかと思ってたよ」
「そんな、大袈裟ですよ」
「大袈裟じゃないよ。こう見えて、いつも必死だから」
するとソンフンさんが一歩近づいて、私の前髪に触れると横に流して整えた。
「知らなかっただろうけど、僕は小さい頃からAさんに会いたかったから」
「ソンフンさん…」
「こうしてるのが夢みたいで」
そんなに…？
いや、そもそも夢なのはこっちなんですけど…。
こんな完璧な人と一緒に居る現実が信じられないよ。
「Aさんは僕の初恋なんだよ」
何となく、前から話を聞いていて…そんな感じもしていた。
お祖母ちゃんはもしかしたら、そんなソンフンさんの気持ちに気づいていたのかもしれない。
「ずっと待ってた、あの食堂で会えるのを」
だから私の写真を見せたり、話をソンフンさんに伝えていたんだろうな。
「…食堂にある私の写真、あんまり気に入ってないんですよね」
「え？そうなの？」
「ソンフンさんに見せるって知ってたなら、ちゃんとした服着て…写真館で撮ったのに」
私が照れ隠しでそう言うと、いつもの様にソンフンさんは楽しそうに笑ってくれた。
「じゃあ今度、写真撮ってあげる。一眼持ってるし」
「えっ」
「今日のお礼に」
今日のお礼…？
もしかしてビデオ撮影のこと？
「それじゃ…私もそのお礼をしなければ」
「その次は僕がして…って、終わらなそうだね」
「ですね」
遠くで犬の鳴き声が聞こえた。
振り向くと閉ざされた窓に、見覚えのある２つのシルエット…。
「はは、心配して迎えに来そうだね」
「そうですね、じゃあ私…中に入ります」
「うん。じゃあまた」
「おやすみなさい」
手を振りながらソンフンさんはその場から歩き出した。
「ふ…可愛い」
何度も振り返って手を振ってくれるソンフンさんが、何だかあの動画で見た幼い彼に重なる。
もしも私が今よりもっと前に、彼に会っていたらどうなっていたんだろう。
分からないけどきっと、私も彼が初恋相手になっていた様な気がする。
「そしたら、両思いじゃん…やば」
そんなことを考えて、勝手に1人で赤くなっていた。
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eng(プロフ) - 依鈴さん» ありがとうございます！気づけば長くなってしまいましたが、引き続きよろしくです^ ^ (3月4日 17時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - 続編楽しみにしてました〜！面白いです！毎日楽しみにしてます！ (3月4日 16時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年3月4日 14時
