ファイティン ページ36
スケートリンクの客席で頭を抱える美少年ひとり。
そしてその横に座って美少年を見つめるフツーの少女ひとり。
「…元気出して」
「あーどうしよう、絶対このネタでずっと言われ続ける」
さっきの可愛いギャラリーはソンフンさんが、たまに練習を見てあげているキッズクラスの生徒たちだったらしい。
だからあの子達めちゃくちゃ楽しそうだったの…。
「他人の言葉も３ヶ月、って諺あるじゃないですか」
日本で言うなら"人の噂も75日"だっけ…？
「韓国の方が長い！」
「はぁ…焦りすぎたな」
ようやくソンフンさんは諦めがついたようで、頭を上げてそのまま背もたれに寄り掛かった。
「…本当に付き合ってないんですよね？ヒスニヒョンと」
寄り掛かったまま、頬杖をついている私を見る。
私は無言で深く大きく何度も頷いた。
「ダメだ…Aさん、男の知り合い多過ぎる」
「え？誰のことですか」
「この前ニキに教えてもらったんですよ、カトクのともだち欄に男の名前が多いって」
「えっ」
アイツ…どこで何を言ってるんだ？
そもそもあの事務所って会話厳禁なんじゃなかったの？
「ジョンウォナとソヌ、それに…ジェイまで」
「は！？名前まで言ってるんですか？」
「というか…スクショ見せて貰った」
決めた。
帰ったら掃除洗濯全部やらせてやる。
「ジェイさんたちは学校が一緒だから」
「でもジェイに聞いたら知らないって惚けてたんですよ。何かあったんじゃないんですか…？」
ぎくっ！て聞こえちゃうんじゃないか、ってくらい全身が固まる。
こんな時に咄嗟に何か上手く言い回して逃げる方があれば良かったんだけど。
「…………」
ヤンくんが言う通り、私はどうやら嘘がつけない人間らしい。
「やっぱり…」
「…でも、関係性はそんな変わらないですよ。告白される前と」
「告白！？」
私の言葉にソンフンさんが立ち上がる。
「は？ジェイが！？」
「でも…未だに信じられないんですよね。なんか理由も曖昧だし」
「マジかよ」
また頭を抱えてしまったソンフンさんの背中にそっと触れた。
「多分、女の子の知り合い…私しか居ないっぽいんで」
私も男性の免疫あんまなかったけど、ジェイ先輩はもっとないような気がする。
じゃなきゃアイドル高校でこともあろうに、一般人の地味な私を気に入る訳がない。
「ジェイはすごい良い奴なんですけど…」
するとソンフンさんが話しながら頭を上げた。
「今日から悪いやつになりました」
ジェイ先輩、ファイティン。
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eng(プロフ) - 依鈴さん» ありがとうございます！気づけば長くなってしまいましたが、引き続きよろしくです^ ^ (3月4日 17時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - 続編楽しみにしてました〜！面白いです！毎日楽しみにしてます！ (3月4日 16時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年3月4日 14時
