浮かれるブス ページ32
この日はソンフンさん以外にも同じ年ごろの少年少女たちがリンク上にいた。
もしかして合同練習で貸し切ってんのかな…
入る時に関係者パスもらったし、今のところ一般のお客さんらしき人は居ないもんね。
「あ、始まるのかな？」
リンク内に音楽が流れてきたのを合図に私はRECボタンを押す。
するとソンフンさんを始め、他の選手の子達もリンク内を滑り出した。
「…………っ」
見失わないように集中してるせいか、息が止まってしまう。
合間合間に思い出して息を吸い込むけれど、こんなんじゃ終わる頃に酸欠になっちゃうよ。
でもあんまり意識して呼吸すると、カメラに荒い息遣いが入ってしまうかもしれない。
そんなん変態が美少年撮って興奮してる映像になりかねないな…。
「ねえ、アンタ誰」
声がする方をチラ見すると、私の横にいつの間にか女の子が立っていた。
でも声が入るといけないと思い、申し訳ないけど返事はせずに撮影に集中する。
「ソンフニの何？」
「…………」
いや、いま撮ってんの見りゃ分かるよね？
話しかけられると困るんですが…。
「妹じゃなさそうだし…ファン？」
「…………。」
もう一度、絡んでくる女の子を一瞬見て表情で訴えた。
撮ってますよー声入ってますよー。
「まあいいや…相手にはならなそう」
フッと笑われて彼女が立ち去ろうとする。
この女…、と言いたいのを我慢して私は撮影を続けた。
「相手してもらえたからって、ヲタクが浮かれんなよ？」
「くっ…」
ダメダメ、撮影があるじゃないか。
ここは冷静に華麗にスルーしなければ。
「ブス」
「………」
シンプル悪口言って女の子は去って行った。
「ふーっ…」
気持ちを落ち着かせるように、深呼吸。
言ってることを察するに、彼女はここで練習するフィギュア仲間でソンフンさんのことが好きなんだろう。
顔小さい目が大きい鼻は高い、スタイルも良いし、背も高いし…
もう延々と褒めちぎれるくらいの美少女だった。
なのに突然ソンフンさんと共に現れたモブ女に腹が立ち、弁えろとわざわざここまで言いに来たってとこだろう。
「言われなくても分かってるわ…」
まぁ、たまに浮かれてるのは否めないんだけど…。
「お疲れ」
「あ」
カメラの前に急に現れたソンフンさんは少し息切れしてて額に汗をかいていた。
そんな姿で微笑むからさらに爽やかさを底上げしていて、イケメン度は上がる。
「お疲れ様です。休憩ですか？」
「うん、下の売店行って一緒に何か飲もう」
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eng(プロフ) - 依鈴さん» ありがとうございます！気づけば長くなってしまいましたが、引き続きよろしくです^ ^ (3月4日 17時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - 続編楽しみにしてました〜！面白いです！毎日楽しみにしてます！ (3月4日 16時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年3月4日 14時
