忘れてたザイオンス効果 ページ29
時間も遅いので今日だけヨンサン食堂の方に泊まることにした。
ヤンくんを見送ろうと私は彼と一緒に、裏口から路地裏を通って店の前の通りへ進む。
「あー帰りたくないな」
「…ちゃんと寝なきゃダメだよ」
なぜか手をずっと手を繋がれてます。
もしかしてこのままヤン家までお持ち帰りされる？
いや、さすがにそれはないか…。
「あの…あれからジェイヒョンとはどうなってんの」
「どうって言われても…特に何もないよ」
たまに思いついたかのようにカトクで尋問が始まる。
私のこととか、よく分からない心理テストみたいなものまで。
そんなに質問攻めしてインタビュアーになるつもり？って思う。
「本当に…？」
「カトクのトーク見る？」
「ううん…Aさんを信じる」
名残惜しそうに私の手を離すと、ヤンくんは私を見つめた。
「でも、いつジェイヒョンが豹変するか分からないから…前に教えたことは守ってね」
「うん。わかった」
「じゃあ…ね、おやすみ」
「おやすみなさい」
手を軽く振ったまま、ヤンくんは後ろ向きに歩き出す。
「危ないよ、前見て歩いて」
とは言ったものの、こっちを見ながら笑顔のヤンくんがめちゃくちゃ可愛いななんて思ったりした。
これはもしかして…好きと言われて好きになるパターン…？
「もう寝よ…」
見えなくなるまで見送って、私はお店に戻ることにする。
遠くから自転車を漕ぐ音が近づいてきて、何となく振り返って見てみると。
「あ、不良娘を発見」
「え…？」
キャップを被りマスクをした男の人が私を指差す。
「何してんのこんなとこで」
「………ヒスン、さん？」
「正解」
すると顔半分を覆っていたマスクを少し下げて、彼は私に微笑んだ。
「ここ、お祖母ちゃんがやってるお店なんです」
「へー、ヨンサン食堂の子だったのか」
食堂を見上げ、ヒスンさんは私を見る。
「最近公園には来ないし…連絡も全然よこさないから、見捨てられてたのかと思った」
「あ…すいません」
「でも今日、ここ通って良かった。たまには事務所に顔出してみるもんだ」
そう言うと彼は私に近づいて、私に言う。
「ウチ近いんだ。今から来る？」
「は？」
反射的に彼から距離を取ろうと一歩下がる。
ヤンくんの教えが身に付いてるらしい。
「警戒心ちゃんと持てるようになったの」
「さすがにそんなこと言われたら」
「誰に教わったんだか」
ヒスンさんは自転車に跨り、ずらしたマスクを元に戻した。
「じゃあ、連絡待ってる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
eng(プロフ) - 依鈴さん» ありがとうございます！気づけば長くなってしまいましたが、引き続きよろしくです^ ^ (3月4日 17時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - 続編楽しみにしてました〜！面白いです！毎日楽しみにしてます！ (3月4日 16時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：eng | 作成日時：2024年3月4日 14時
