素直な気持ち ページ27
するとスマホの向こう側のヤンくんは何も言わずにいる。
え？まさか…寝てないよね？
「なんでさ…そんなこと言うの？」
「…え」
「気を遣わせたくないのに…心配させたくないのに…」
鼻を啜る音が聞こえた。
「今ちょっと…少し、弱ってるから…そんなこと言われると平気でいられなくなるよ」
「…………」
ああ、思ってたよりも随分と…
ヤンくんは心も体も疲れて居たみたい。
「特に…Aさんには、こんなこと言いたくなかったのにな」
「ヤンくん…」
「いつも…頼りがいのある男で居たかったのに」
学校では先生にも生徒にも信頼されてる学級委員だもんね。
転校生の私の面倒もずっと見てくれてた。
友達のいない私と仲良くしてくれて、ジェイ先輩やソヌ先輩にも可愛がられて優しい後輩。
夢を叶えるためにいつも遅くまでレッスンや練習をしてヘトヘトになっても、ヤンくんは泣き言も言わずにずっと頑張ってた。
いつもいつも、365日24時間。
誰にでも笑顔で優しくて、みんなに信頼されてて。
凄いよ、そんな人わたしの周りにはいなかった。
「ヤンくん…」
「なんで、Aさん…泣いてるの？」
「分かん…な…」
めちゃめちゃ泣いちゃって、上手く喋れないな。
「さっき言ってたこと…ホント？」
「ん………なに、が…」
「すっ飛んでくるんでしょ？僕のために」
「う…ん」
なんとか返事をすると、ヤンくんから小さく笑い声が聞こえた。
「じゃあ、来て。こっちに」
「えっ…」
下の方から"ヨーイ"って誰かが言っているのが聞こえた。
屋上から見下ろした先には、お店に面した路に1人の男の子が立っている。
「え、なんで」
私に手を振っているヤンくんだった。
「どうしたの…何でここに」
急いで降りて行くと、ヤンくんはスマホをタップして通話を終わらせる。
「何となく、お店の前来ちゃってた。無意識に会いたくなったんだと思う」
「わ…私に？」
せっかく落ち着いたのにまた涙腺が…やばい。
「他に誰がいるの？」
「お…お祖母ちゃん…に」
ヤンくんはいつものあの笑顔を見せながら私の涙を服の裾で拭った。
「Aさんのお祖母ちゃんに僕、まだ会ってないから分からないよ」
そんな彼の目も、まだ少し赤かった。
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eng(プロフ) - 依鈴さん» ありがとうございます！気づけば長くなってしまいましたが、引き続きよろしくです^ ^ (3月4日 17時) (
レス) id: c7224089dc (このIDを非表示/違反報告)
依鈴(プロフ) - 続編楽しみにしてました〜！面白いです！毎日楽しみにしてます！ (3月4日 16時) (レス) id: 71a1970ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eng | 作成日時：2024年3月4日 14時
