甘い囁き。６

１６８ ページ23

Aside







・







勝利「家に帰れないし、住めないってどういうこと？」


今日はやたらと質問が多い。
今までの扱いとは大違いだ。


なんて頭の冷めてる部分で冷静に思う。





A「そのままの意味だって！」


でも口から出る声は
いつもよりも高くて、鋭い。



私はいつの間にか、ブランコから立ち上がって
しょうにぃの正面に立っていた。






勝利「なんで？」



“ 考えればわかるでしょ！ ”
そう叫びたいのを必死で抑える。


しょうにぃは私をｲﾗｲﾗさせたいんじゃないかってほど
今の私はｲﾗｲﾗしてた。



しょうにぃに対してだけじゃなくて、自分にも。









A「もう兄妹でもなんでもなくなったから！」



声に出して言うと、その現実がはっきりとした形になって
悲しくて、苦しくて、また涙が溢れたけど






A「私としょうにぃは、もう赤の他人なんだよ…？」


今までの叫びが嘘のように
私は喉が苦しくなって、言葉に詰まった。






しょうにぃが大きく目を見開く。
私は目に涙を浮かべる。






A「赤の他人の高校生が一緒に住めるわけないっ。」


A「私たち、血の繋がりも、戸籍上の繋がりもない、他人じゃん…！」




言ってしまった。

本当に終わったんだ…



最後の叫びは、泣き声に変わってた。
大声で泣きたいけど、恥ずかしいから唇を噛んでこらえる。



大粒の雫が溢れて
前が見えなくなった。









・









・









勝利「それ、本気で言ってんの？」





永遠に続くかと思った長い沈黙を
しょうにぃの恐ろしく冷たくて低い声が破った。


今までに聞いたことのないほど
静かで、怒りのこもった声。




涙を袖で拭ってしょうにぃを見ると
青ざめた顔で私を睨んでる。









勝利「Aがそんな風に思ってたなんて、」



勝利「…がっかりした。」





切ない響きに
心の奥がﾁｸｯと痛んだ。






・

１６９→←１６７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す