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Aside














真っ暗で不気味な暗闇に支配されて
街灯がひとつあるだけの公園は静寂に包まれている。


人影も見当たらなくて
少しだけ、心細くなる。




どこか泊まる場所を探さないといけないのに
なぜか体が動かない。ブランコから立ち上がる気になれない。



そっか…

頭の中に浮かんだ自嘲的な言葉を
もう一度よく考えてみる。




私はいけないことをしてしまったのか。
世間で言う、禁断の恋とやらを。


でも義理の兄妹だし
一緒に住んでたら好きになるものでしょう?



私の中に、ふたりの自分が浮かび上がって
勝手に自問自答を始める。





― 兄妹を好きになるなんておかしいよね。


― だけど、高校生の男女が一緒に住んでお互いを意識するのは
  ごく普通のことだと思うけど。


― お互いに?私はしょうにぃのことが好きだけど
  しょうにぃは私のことなんて好きじゃないよ?


― でも、少なくともほかの女子よりは大切な存在のはず、だよね?


― 結局、妹なんだから恋愛感情なんて持ってないよ。






A「いやっ…」


いつの間にか、声に出ていた。




― ― もう、やめてよ! ― ―



第三者の声が頭に響く。
きっと、本来の自分の気持ちの声。








― ― 結局、私としょうにぃは他人なんだから… ― ―



もうあの家に戻れないし、
一緒に住めない。


しょうにぃをお兄ちゃんとも呼べないし
日本での身寄りはいない。


赤の他人になってしまった私は
家を出るしかない。


もう“ 義理の兄妹 ”っていう関係は
終わり―――…






あんなに、望んでいたのに。
あれほど、切望してたのに。






“ しょうにぃと義理の兄妹じゃなくて、 ”


“ 普通の高校生として出会いたかった ”






だけど私はもう、しょうにぃの義理の妹として
しょうにぃに出会ってしまった。


今さら普通の高校生として接することが
できるわけない。




怒りとも、恨みとも、悲しみとも言えない
複雑な気持ちがせめぎ合って、苦しい。






私は、これからどうしたらいいんだろう。


途方に暮れて座ってるしかなかった。
ただ静かに、ひとりでいるしかなかった。





























「やっと見つけた。」





突然、声がしたと思ったら
バサッと頭に何かがかかる。


ほのかに広がる香りと声で
すぐに気づく。







「なに泣いてんの。」



気づけば熱い雫が
冷たい頬を流れ落ちていた。





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☆ひー☆(☆u∂) - わ~すごい続き気になります♪頑張ってください!! (2014年6月23日 23時) (レス) id: 6218aee476 (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 勝利君と主人公ちゃんがどうなるかとっても気になります! (2014年6月23日 18時) (レス) id: 87ef2f2be1 (このIDを非表示/違反報告)
ドイヤちゃん&グミちゃん(プロフ) - めっちゃキュンってきましたぁ〜////続き、楽しみにまってます^ ^ (2014年6月23日 18時) (レス) id: cd9af8fd32 (このIDを非表示/違反報告)
Arcana(プロフ) - 切ないですー・・・。はやくくっつかせてあげて欲しいです笑 (2014年6月22日 18時) (レス) id: 4aed5eb105 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 続きが気になります!!!更新楽しみにしてますね! (2014年6月22日 15時) (レス) id: 829ff09d45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*シャルル* | 作成日時:2014年5月7日 20時

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