甘い囁き。６

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Aside







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飛行機の窓の外に広がる景色に、来るときは心を躍らせていたのに
今ではなんの感情も湧いてこない。

ただぼんやりと眺めるだけ。








“ じゃあ俺とAは兄妹じゃなくなるんだね？ ”


不意に蘇るしょうにぃの言葉。
何度も何度も頭の中で繰り返される。





兄妹じゃなくなる＝血の繋がりも戸籍上の繋がりもない＝「他人」





恐ろしい方程式が目の前に浮かんでは消え、浮かんでは消え…
おかげで今日は一言も声を発していない。
頭の中だけで精一杯だ。




そんな私の雰囲気を感じ取ったからか
友梨亜も優心ちゃんも話かけてこなかった。


2人の気遣いに救われたけど
優心ちゃんも口数が少ないし、何か考えてる様子だったから心配になる。



何かあったのかな―――






なんて考えてた時
いきなり飛行機がｶﾞﾀﾝｯと大きく揺れて
思考を遮られた。



これ以上何も考えたくなかった私は
無理やり目を閉じて、シートにもたれたかかった。




蘇るしょうにぃの声と方程式を、必死で頭から締め出していたら
いつの間にか、眠りについていた。









・









「A、Aってば！」



自分を呼んでる声がする。
友梨亜と優心ちゃんかな…



肩を揺すぶられているのが眠りの中でもわかったけど
体は言う事を聞かなかった。





「Aっ！」




嫌だよ。
嫌なの。


もう現実にはうんざり。
戻りたくないよ。怖いの。



もういっそ、このまま眠り続けた方が楽―――――――…









・









・









「おい。」




耳に入った声を聞いた瞬間、
体がﾋﾞｸｯて跳ねる。




今、一番聞きたくなくて
一番聞きたかった声。







「早く起きろよ。みんなに迷惑がかかる。」



命令口調にｲﾗｯてしたけど
こう言われると起きないわけにはいかない。



渋々、目を開けて体を起こす。
顔を上げると、もちろんそこにはしょうにぃがいた。









勝利「寝顔、ばっちり撮っといたから(笑)」




いたずらっぽい笑みを浮かべたしょうにぃを見たら
いつもとは違う痛みが胸を襲った。






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