4 ページ32
着いた先はネットカフェだった。
ハテナが浮かぶ私をそのままに彼は利用手続きを進める。通されたのは1〜2人用の席。思ってたよりずっとリュクスな内装で、飲食店のカップルシートと言った方がしっくりくる。
靴を脱いで利用するスタイルなので彼はさっさと脱いで入室した。振り返って「おいで」と手を差し出してくれたけど、私はそれをつかむのを躊躇する。
「あの……」
「……Aが、元気なさそうだったから。並ぶのやめよう」
確かに元気のない雰囲気だったと思う。そしてそのせいで、約束したスイーツ活動を私は台無しにしてしまったんだ。
「すみません……折角誘ってもらったのに……」
申し訳なさでごにょごにょしてしまい、彼の顔も見れない。
「ちょうど良かったよ。オレが並ぶの好きじゃないから、ね？」
ぷらんと下ろしている私の手を取って部屋に導く。近付いた彼の顔は、ただの明るい笑顔だ。
クロロさんには私の罪悪感はお見通しみたいで あくまで彼の都合だったということにしてくれる。まじ天使、いや神か。
「……はい！」
そうだ、いつまでもウジウジしていたら、本当に彼をがっかりさせてしまう。
予定変更くらい良いじゃない。こんなことも二人で乗り越えられないなら……えっ？
「なんか顔赤いよ？」
外が暑かったからかな？ とピュアに私を心配する彼。
“二人で”と自然に頭に浮かんだことに自分で照れて、急にばくばくし出した心臓に意識が向く。
「あ、えっと、暑かったし早歩きしたんで……」
「気付かなかった。横になった方が良いんじゃない？」
「あ、いや、」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルイ(プロフ) - ハルさん» 全話お読み頂いてコメントまでありがとうございます！もう少し続きますので、どうぞお付き合い下さい(^^) (2021年9月12日 15時) (
レス) id: 2f35e832cf (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 初めまして！とても素敵な作品ですね！最後まで読ませて頂きました^_^続き楽しみにして待ってます！ (2021年9月11日 23時) (レス) id: 1ed1b10e6b (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 鼻毛太郎さん» それは後日談とするか未定で、まずはL◯NE風オチとなりました。ハイレベルなご感想ありがとうございます！長くなり失礼しました。 (2021年7月29日 8時) (レス) id: 2f35e832cf (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - 鼻毛太郎さん» 徐々に侵食されているのを感じて頂けて嬉しいです！仰る通り、コンビニスイーツなので今後もふと思い出して「ああああ」となってしまえー☆という余白もあります。 (2021年7月29日 8時) (レス) id: 2f35e832cf (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - あぁぁわらび餅読みました；；徐々に触れるレベルが進行していって、夢主ちゃんきっとわらび餅食べる度に今日の事を思い出してしまうんだ…と勝手に物語に深みを付け足して楽しみました…次は金平糖なんですね、楽しみです…；； (2021年7月28日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルイ | 作成日時：2021年4月4日 13時
