叶う時 ページ33
…
年が明けて、あっという間に春がやってきた。
私たちトロイメントは、
あの「夢見」を収録した
２枚目のクラシックCDを販売し、
販売記念に、かの有名なクラシック番組に
出演させて頂いて、知名度を上げていた。
いつのまにかフォーマルメーカーの
専属モデルにもなったおかげで
毎コンサートで美しいドレスを
着させて頂いている。
もちろん拓人は品の良いタキシードね。
どんどんと多忙になる毎日の中で、
笹川教授に、あるホールに来るよう
呼び出された。
そこには、
先生が指揮をするオーケストラの面々が。
先生は私をメンバーに
ピアニスト志望だと紹介してくださった。
そして、今秋の定期演奏会で、
レスピーギの交響詩「ローマの噴水」を
やることにしたと発表した。
もちろん、ローマの噴水には
オケ中ピアノが登場する。
オケ中ピアノは
オーケストラの中で伴奏の役割で
ピアノを演奏することを言うんだけど、
オケの面々が一斉に私を見た。
"笹川教授はこいつに弾かせるのか"と
品定めされているようだった。
コンマスの朝日さんが立ち上がって、
私に握手をしてくれたんだけど、
笹川教授「朝日さん、
僕はこの曲を彼女に弾かせよう、とは
考えてはいない。
きちんと、君たちオーケストラが
彼女に弾いてもらおう、と
気持ちが揺れるまでは、ね」
朝日「ということは、オーディションを
なさるってことですね？
マネージャー、すぐにエキストラ募集を！」
笹川教授は私の元に来て、
「僕が出来るのはここまでだ。
あとは自分で掴み取りなさい。
今回機会がなかったとしても
諦めないで勉強し続けなさい。
そしたら、いつか機会はやってくる。
もちろんカルテットを疎かには
してはいけないからね」
…
私はカルテットの練習、関係者打ち合わせ、
雑誌の取材、コンサートの打ち合わせをこなし、
それから、急いでオケの練習を見に行く。
毎日分刻みのタイムスケジュールだ。
もちろん、オケの練習を見ると言っても、
ただ見ているわけではない。
どんな雑用でも進んでお手伝いしたし、
オケのメンバーの名前も全員覚えた。
帰るときには毎晩11時を越えていたけど、
そこから自分の「ローマの噴水」との闘い。
きっと今が一番頑張らないといけない時だから。
オーディションは1ヶ月後に行われた。
私は自分なりに交響詩について解釈し、
オーケストラを立てて弾いた。
…
結果を聞いた時には涙が溢れた。
初めて努力が認められた瞬間だったから。
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藍白 - 大丈夫です☆私この作品大好きなので頑張ってください。 (2018年8月23日 22時) (
レス) id: 3e873db44f (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - 藍白さん» いえいえ。これだけ夢主ちゃんが不幸続きだと心配になりますよね(汗)それでも、読んでくださってありがとうございます！藍白さんの望むストーリーじゃないかもしれませんが、夢主ちゃんを応援してあげてくださいませ。 (2018年8月22日 13時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
藍白 - こんな質問してごめんなさい!!この作品大好きなので頑張ってください((o(^∇^)o)) (2018年8月22日 12時) (レス) id: 3e873db44f (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - 藍白さん» 一応最後はハッピーエンドで終わる予定です…が、しばらく引っ張るかも知れません。 (2018年8月22日 6時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
藍白 - 夢主は幸せになれますか？ (2018年8月22日 2時) (レス) id: 3e873db44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちいこ | 作成日時：2018年8月17日 12時
