最強をダメにする最弱：２

余計じゃない寄り道 ページ6

『え…そうなんですか？』

3日間がなければ死んでいて、カタクリ様に会うことなく私が次の国を目指していたら死んでいて。
私はつくづくカタクリ様に運命を握られているのだな、と恐がるどころか不思議と納得してしまった。

「そもそも、この新世界であんたみたいに国を渡り歩いてるのが珍しいんだけどさ」
『ま、まあ、こうして無事に生きてますから！…また、時々会いに来ても良いですか？』
「勿論！いつでもおいで！ちょっと待ってな、荷物を持ってきてあげるよ」

私はとても恵まれてる。
甘いだけの国でないことは分かったけれど、きっとどんな味が隠されていても―

「ほら、あんたの荷物！」
『本当にありがとうございました！あっ、3日分の宿代を…』
「そんなものいいさ！その代わり、ちゃんとまた顔を見せにおいでよ！」
『はい！…じゃあ私、行きますね』

トランクを受け取って歩き出す。背中越しに、主人がもう一度私の名を呼ぶ。



「言い忘れてたけどさ！その白い頭巾、あんたによく似合ってるよ！」



私は全開の笑顔で手を振って、1ヶ月過ごした宿を後にした。



北の港へはスイートシティを抜ければすぐなのだけど、さすが首都。人が多過ぎてなかなか早く走れない。

『あれ、あの子…』

ふと、路地にうずくまる男の子が目に留まった。
本当は急がなきゃいけないけど…

『ねえ君、どうかしたの？』

…さすがに放っておけない。正午にはまだ余裕があるし、これは【余計】ではない。

『どこか痛い？それとも迷子？』

ふるふると首を振られる。

「…友達を殴って怪我させちゃった」
『そう…どうして？』
「馬鹿にされた。片方だけ手が長いのは変だって」

言われて見れば、確かに膝を抱く男の子の腕はそれぞれ長さが違う。

『…そっか。痛かったね』
「？違うよ、僕が殴ったんだ。僕は全然…」
『うん。お友達は身体が痛くて、君は心が痛かったんじゃないかなと思って』
「……うん」
『でも【友達】って呼ぶんだね。仲直りしたい？』
「うん…でも、謝りたくない」
『そう…じゃあ、謝らないで仲直りしよっか！ここはお菓子の国だもの。きっと大丈夫。ちょっと待ってね』

…そう言って荷物を漁るけれど、いつも入ってる物が見つからない。

(しまった…！今日は何も作ってないんだった)

こんな時に限って。私の馬鹿！

『えーっと、ごめんね！ちょっと待っててくれる？すぐに戻るから…』

慌てて買いに走ろうとしたその時。

「少年。キャンディは好きかね？」

謎のキャンディ紳士→←来る者去る者

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