欠けていたもの ページ48
『？それってどういう…』
カタクリ様は欲深いどころかろくにご自分の希望も口にして下さらないし、それ以外も、カタクリ様に当てはまるようには思えないのだけど。
「そのままの…いや、おれも困っているということだ。さっきみたいなことを、口にする気はなかった」
『さっきというと、私の膝で』
「だから言うなと言っている！……子供じみた我儘なんて忘れろ。そもそもここに来たのは…」
『あっ！そうでした！カタクリ様はどうして私の家にいらっしゃったんですか？』
「……これだ」
言って、カタクリ様が何かを私の胸元に放り投げる。
綺麗な放物線を描いて落ちてきたそれを受け止めると、それは。
『これって私の髪留め…えっ!?いつから!?』
慌てて自分の後頭部を手で探って初めて、そこにあるはずの髪留めがないことに気付く。気付く前に手元に戻ってきてしまったけれど。
「なんだ、気付いていなかったのか」
『昨日は本当にカタクリ様のことしか頭になかったので…』
「っ、お前はまたそういうことを…」
『これを届ける為にわざわざ…？』
カタクリ様の行動に、優しさに、胸がじんと熱くなる。
自分でも忘れていたような小さな忘れ物を、ただのパティシエである私の忘れ物を、疲れた身体でわざわざ届けて下さるだなんて。
(それなのに私は寝ぼけて抱き締めたり…！)
嬉しいと同時に恥ずかしくなる。でもそれ以上に。
「用はこれだけだった。それが、こんなことになるとはな…。解決なんてしなくて良い。ここであったことは忘れろ」
『駄目です』
やっぱり私は、貴方をもっと甘やかしたい。
『なかったことになんてさせません。カタクリ様が苦しんでいる理由があって、それは私が力になれることで、私ばかりが優しくして貰っておいて返しもしないだなんて、許せるわけありません。
…私の言っていることは、間違っていますか？』
「間違い…では、ないが…」
懇願するようにカタクリ様を見つめる。
少したじろぐカタクリ様は確かに普段の姿からは想像出来ないけれど、そんなところも可愛過ぎて困ってしまう。
『叶えさせて下さい。カタクリ様の言う【我儘】を』
結局自分の欲が絡んでいることには呆れるしかないけれど、この際理由なんてどうでも良い。
「…ッ」
『カタクリ様』
逃さないというように、決して目を逸らさずに。
「……が、足りない」
―ああ本当に、可愛い人。
「Aが足りない。…責任とって、おれのストレスを解消しろ」
『…はい！喜んで！』
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
