毒も薬も甘く ページ47
『それに…ふふっ』
「…おい、今笑っただろう」
傍にあったカタクリ様の腕が変形して、大きな槍が現れる。あれは確か【土竜】というのだっけ。
凶器が視界に入ってもそんなことを思い出すくらい、それは私に恐怖を微塵も感じさせない。
それはそうだ。今のカタクリ様に、本当に殺意などありはしないのだから。
『ごめんなさい。だって、嬉しくて』
「嬉しいだと…？」
『本当にそれがカタクリ様を悩ませていたものの正体なら、私が解決して差し上げられるってことですもの。そうでしょう？』
幸福と栄誉に頬を緩ませる私を見て、困ったように、戸惑うように目を伏せられる。
「そ、れは…。大の男が子供みたいなことを言って、みっともないとは思わないのか」
そういうところが可愛いのだと、この方はわかっていないのだろうか。
『みっともないだなんて、こんなに可愛くて嬉しいことなんてそうありませんよ！…本当に、心臓がいくつあっても足りません』
可愛さで殺されるかと思った。殺されるといえば…
(さっきのカタクリ様の瞳は、焼き殺されてしまうかと思うくらいだった…)
ぎゅっと心臓が締め付けられる。目を閉じればすぐに思い出せるくらい、瞼の裏に焼き付いて離れない。
『…死んでしまうわ。本当に』
頬に手を当ててぼそりと呟けば、傍で光っていた土竜が再びモチに飲み込まれていく。
見れば、少し落ち着かれたのか、目が合ったカタクリ様からはいつものように呆れた溜息が聞こえてきた。
「恐怖はものともしない癖に、そんなことで死ぬヤツがあるか」
『少なくともここに一人』
もう一度溜息。良かった、いつものカタクリ様だ。
『…そうだ、もうひとつの質問にも答えておきますね』
「もうひとつ？」
『頭を撫でたりしたことを、カタクリ様が子供扱いだと思った件です。私は、子供みたいだと思ったからそうしたのではなくて…』
あまりの可愛さに気付くのが遅くなってしまったけれど、カタクリ様の告白で私は気付いてしまった。
『私はカタクリ様にご自分を甘やかして欲しい、我儘になって欲しいと言いましたけれど…。……本当は私がカタクリ様を甘やかしたくて、私がカタクリ様の我儘を叶えて差し上げたかったんです』
「なっ」
『カタクリ様といるとどんどん欲深くなってしまうみたいです、私。でも、嫌なのに、醜い感情なんて持ちたくないのに、こうやって許されてしまうと…困ってしまいます』
嫌なはずなのに、幸せで。
「それは、こっちのセリフだ…」
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
