閉じて塞いだ胸の内 ページ44
おれはただ、理由が知りたかっただけだ。Aがあまりにも予想外の行動ばかりとるから。Aの言葉も行動も、おれの人生になかったものばかりだから。知れば少しは心を乱されることもなくなるだろうと、そう考えての問いかけだった。それなのに。
(…どうしたっておれは、お前に翻弄される)
言葉に。行動に。表情に。
未来を先読みしたって、対策なんて出来やしない。
自分がどんな顔で話しているか、自覚していないのだろうか。
幸せそうに、慈しむように、愛おしそうに。そんな顔で語るのがおれへの気持ちだというのなら、それはまるで―…。
(確証もないのに、何を期待しているんだ)
……期待？
期待だなんて、まるでそれを望んでいるかのような言い草だ。
Aの言う【特別】の意味が、おれが抱いているものと同じものかもしれないと。
それを期待しているというのは、望んでいるというのはあまりにも。
「…少し、黙っていろ」
(これ以上こいつの言葉を聞き続けていたら、おれはおかしくなってしまう)
許されないことだとわかっている。未来を見るまでもなく、それは危険と不幸しか招かないとシャーロット家の者ならば誰もが理解している。
おれは兄弟達を、家族を、国を、守らなければいけない。完璧でいなければいけない。それを、そうやって隠していることを。
(暴かれてしまう。暴力的なまでのお前の甘さで)
燃え盛るような炎を、嵐のような激流を、いっそ吐き出してしまえたらどれだけ楽だろうか。
それでも、おれは。
「ハ、ァ…ッ」
すんでのところで感情を押しとどめて、カタクリは圧迫感に苦痛の息を漏らした。
それが限界だった。そうすることでしか、せり上がる激情を抑えることが出来なかった。
『カタクリ、様…？』
力のゆるんだ掌に、Aの声がかかる。
熱に潤んだ瞳の形が歪んでたちまち不安に染まったのを見て、カタクリは安堵しつつも胸を痛めた。
(本当におればかりだな、お前は)
苦笑いを浮かべながら手を引き戻す。覆われるものがなくなっても、Aが続きを口にする様子はない。
しかし、さてこれをどう言い訳しようかとカタクリが思案しようとしたところで、Aの表情が変わった。
『…カタクリ様』
不安げな様子はそのままに、決意したような真っ直ぐな瞳。
それは昨日敵襲によって遮られた、あの時の。
『知りたいことがあるなら答えて下さると、カタクリ様は仰いましたよね。でしたら教えて下さい』
もしかすると、あの時以上の。
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
