来る者去る者 ページ5
宿に着くと、私の顔を見た主人は私を熱烈に歓迎した。
「良かったA！無事だったんだね！」
『ええ！…心配して下さったんですね。3日も無断で帰らなくてごめんなさい』
「いいんだいいんだ！『城のパティシエを手伝ってくる』なんて言って出ていったもんだから、てっきり何か失敗して処刑されたんじゃないかと思ってたよ…！」
『あ、あはは…』
涙を浮かべて喜ぶ主人に、私は有り難さと同時に申し訳なくなって苦笑いを浮かべる。
(失態を犯して処刑されそうになったなんていえない…)
『本当にごめんなさい。それと、心配して下さってありがとうございます』
「いいんだってば！あんたが無事ならさ！帰って来たってことは喜んで頂けたのかい？」
言われて、私は昨日の出来事を思い出す。
「美味しい」と、「幸せ」だと言って下さった。記憶に残る全てがあまりに幸せで今でも夢のよう。
『ええ。とっても！』
「…あんた、良い顔をするようになったね」
『そう、ですか…？…いえ、そうですね。お陰様で！私、トットランドに来て本当に良かったです！勿論、おば様に出会えたことも！』
「嬉しいこと言ってくれるじゃないか！じゃあもうこの国に住むことにしたんだろ？このままウチに住んでくれても…」
『ああ、ごめんなさいおば様。私、今日でここを出るんです。それで荷物を…』
「え…？」
瞬間、主人の顔が悲しそうに歪む。
「だ、駄目だ駄目だ！せっかく生きて戻ったのに、出てなんていかせないよ！あんたはいい子だし、お菓子の腕だって良いんだ。もう少しいれば、きっとこの国を好きになるって！」
『お、おば様？私はこの国が好きですよ？』
お菓子を愛する国。カタクリ様と出会わせてくれた国。私にとってとても大切な国。
「でも出て行くんだろう!?」
『宿は出て行きますけれど…、何か誤解していますおば様。私、パティシエとしてシャーロット家の方にお仕えすることになって』
「しゃ、シャーロット家に!?腕はある子だとは思ってたけど…シャーロット家に認められるなんて、あんたどんなすごい技術を？」
『技術…いいえおば様』
私はいつかそうしたように、人差し指を口元に立てて笑ってみせる。
『私が使ったのは魔法です。そうしたら奇跡が起きて…！…でも、どうして出ていってはいけないんです？』
いくらなんでもさっきの反応は過剰な気がする。
「そりゃあんた…招かれた客人ならともかく、基本的にママは来る者は拒まず、去る者は…」
「殺すからさ」
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
