必要最低限 ページ22
リンリンと鳴るチャイムの音に、私は家の扉を開けた。
扉の前に立っていたのは一人の兵士。船で一緒だったあの兵士だ。
「やあ。持ってきましたよ！」
『わあ！ありがとうございます！お茶をいれますから中へ』
「ああいや、今日はこの後仕事があるので遠慮しておきます」
『えっ、そうだったんですか!?ごめんなさい、わざわざ…！』
「お茶はまた今度。ところで…」
『？』
「…こんな場所ではなく、ハクリキタウンに住んではいかがです？」
『うーん…家があればそうしたいんですけどね…』
「住民登録が済めば作ってもらえると思いますが…おっと、では私はこれで。今度ゆっくりカタクリ様の魅力について語り明かしましょう！」
『はい！是非とも!!お仕事頑張って下さいね！』
兵士が手を振って去って行く。滞在時間は10分にも満たなかったのではないか。わざわざ【こんな場所】まで届けに来てくれるなんて、本当に良い人だ。
こんな場所。こんな…森の中に。
コムギ島にしばらく新しい人が来ていないというのは本当らしく、ハクリキタウンには空き家はおろか宿屋すらなかったので、私は唯一空いていたこの家を借りている。
ハクリキタウンのはずれ、森の中の一軒家に。
『まあ、しばらくの辛抱…それより！』
そんなことより！！
『ファンクラブの会報!!』
兵士から受け取った雑誌を掲げてくるくる回る。これを読むのをどれだけ楽しみにしていたことか！
私はカタクリ様のことも、シャーロット家のことも全然知らない。
けれどあの時のようにあれこれ質問させて貰える時間も機会もないので、パティシエや兵士の人達にそれとなく色々聞いてみたところ、ファンクラブと会報の存在を知った。
長くカタクリ様のことを見てきた人達。私なんかよりもずっと色んなことを知っているだろう。
早く読もうとソファに座る。会報は月一で発行されているけれど、今回借りたのは増刊号。
『“素晴らしいシャーロット家の兄妹達”。御兄弟の顔も早く覚えないとね』
今後シャーロット家の方と会う場面は少なからず出てくる。なんといってもお仕えする方の御家族だ。
ペロスペロー様の時のような失礼がないように、今度はしっかり勉強して覚えておかないといけない。
…いけない、のだけど。
【シャーロット家は総勢129名。兄妹は85名】…
冒頭から気が遠くなるような数字に頭が痛い。
『ま、負けない…！』
カップの紅茶をぐいっとあおって、私は図鑑程もある雑誌をめくるのだった。
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
