特別と秘密 ページ3
『本当に、頂いてしまってよろしいのですか？』
羽織った白のケープの端を手でつまみ上げながら、私はカタクリ様に問いかける。
「良いと言っている。今後必要な場面がないとも言えんからな」
『では有り難く頂戴致しますね。生涯大切にします！』
「大袈裟な。必要な物を支給しただけだ」
『どんな物であれ、どんな理由であれ、カタクリ様から頂ける物は何だって嬉しいんです！』
「……そうか」
口元のファーをぐいっと引っ張り上げて目をそらすカタクリ様。
カタクリ様は大袈裟だと仰るけれど、私にとっては本当に何だって特別なのだ。
―あの後。どうやって3日間匿っていた私を城から出すつもりなのだろうと思っていた私に、カタクリ様は平然とこう言った。
「【パティシエの審査】だったんだ。採用になったと堂々と出れば良いだけだろう」
そういえば。
朝の段階では生き残ることをまったく考えていなかったので失念していたけれど、そういえばそういうことになっていたのだった。
まさか最初から私を殺す気がなかった？…いや、きっとそれはない。
何が起こっても対処出来るようにしていた、という方がカタクリ様らしい気がする。
元々の思惑がどうであれ、私は今生きているし、カタクリ様のお傍にいられる。
(…それで十分)
「A」
『はい、なんでしょうカタクリ様』
「契約についてはわかっているな」
『ええ。【3日間の出来事とカタクリ様の素顔は内密に】…ですね？』
「そうだ。それが絶対条件だ」
私が生きることに対する。私がカタクリ様のお傍にいることに対する。
『…本当に皆、カタクリ様の素顔を知らないのですか？』
「ああ。家族以外で素顔を見た者は皆殺してきた」
『そうでしたね…ふふ』
「…何がおかしい」
カタクリ様が不機嫌そうに眉を寄せる。
怒っていらっしゃる。きっと一番気にされていることだろうから当たり前だ。
『いえ、つくづく自分は幸せ者だなと思って。というか贅沢者ですね』
「贅沢？」
『あんなに可愛くて素敵な姿を拝見出来ただけでも幸せなのに、それを知っているのがパティシエでは私だけだなんて。とんでもない贅沢です！……すみません、浮かれてますね。私』
にやけてしまう頬を手で抑えながら、少しだけ反省する。
『でも贅沢の分しっかり働きますから！もっともっと美味しいドーナツが作れるように！』
「ああ。それは……楽しみだ」
でもそんな言葉を貰ったら、浮かれてしまうのだって仕方ない。
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
