再確認 ページ18
「まさか、城のパティシエが作ったものも用意してあったとはな」
『自分で言い出しておいて勝手過ぎる自覚はあるのですけれど、カタクリ様に食べて欲しくて作られたのだと思うとどうしても…』
もうここまで失敗したならとことんだ、と私が我儘を口にすると、カタクリ様はそれを快く受け入れて下さった。
正直なところそうだろうなという予想と期待はあって、私はカタクリ様の優しさに甘えただけなのだけど、意外なことがひとつだけあった。
『…私、出て行かなくてよろしいのですか？』
「まだまともに歩けないヤツが何を。座っていろと言ったのはおれだ」
『それは…そうですけれど』
(でも…社を組み上げなかったのは…？)
4つのドーナツを乗せたお皿を机の上に置いて、椅子に腰かけるカタクリ様。
先程も私は室内にいたけれど、社を組むことで私に食事シーンを見せないようにしていた。
それを、しない。
とはいえ、私以外に目撃者が現れることもない。
何故なら、扉をぴったりとおもちで閉じてしまったからだ。
(意図がまったくわからない…)
見て良いというならそれはとても嬉しいけれど、なんだか色んなものが噛み合っていない気がする。
矛盾しているのは私の行動も同じだけど。
―戸惑いながらもカタクリ様の様子を観察していると。
ヒュッ
『!!』
ドーナツが！消えた!!1個丸々!!!!
じっと見ていた。1ミリも視線は逸らさなかった。
(これ、あの時の紅茶と同じ!?)
いつかの夜を思い出す。そういえば、一瞬でカップを空にされたことがあった。
あの時も驚いたけれど、改めて見ると衝撃が凄い。いや見えなかったけど。
「…なんだその顔は。何か期待でもしていたのか？」
『それはその…少しくらいは。でもそんなことより、カタクリ様？』
表情に変化はなかった。反応も特別なものは何も。だったら聞くしかない。
『お味は…いかがですか？』
すると、カタクリ様は少しだけ驚いた顔をして、それからもう1個ドーナツを食べた。
「…検証のつもりだったが」
『カタクリ様？』
「…悪くはない」
『…良かった』
少なくとも暗い顔はされていない。
「…。だが、お前の行動もやはり間違いではなかった」
落ち着いて言葉を聞けば、私を特別擁護しようという意図なんてなかった。
『私…何も見えていなかったんですね』
「何？」
『もっとちゃんとカタクリ様のことを見ていないと、見逃してしまうなって』
一瞬の穏やかな瞳も。
「……見逃してくれた方が良いんだがな」
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
