標はいつも ページ17
「死なせないから安心しろ」
腰が抜けた状態では抵抗することも出来ず、私は簡単にカタクリ様の能力に掴まえられてしまう。
思い切り引き寄せる力は私にとっては強いけれど、加減されてのものだとわかっているから私の心臓の状態は悪化の一途を辿るしかない。
『絶対わかってらっしゃらないですよね!?本当に、カタクリ様はもっとご自分の魅力に自覚をですね…！』
抗議の声と視線を向けると、近付いたカタクリ様の顔がはっきり見えた。低い位置では見えなかったところまで。
『…カタクリ様もなんだか、お顔が赤いです』
ファーの下から覗く頬が赤く染まっている。私の指摘に視線が逸らされた。
「…お前のが移った」
『ふふ、そうですか。そうでした。カタクリ様は照れ屋さんでしたね』
こんなに格好良いのに。そしてそんなカタクリ様はやっぱり。
(…可愛い)
「うるさい。行くぞ」
『わっ』
ファーに顔が埋められて強制的に黙らされる。これ以上の抵抗は無意味のようだ。
スンッ
(あ…太陽、だ)
ふわりと香る匂い。普通の人より近いところで陽の光を浴びているからだろうか。カタクリ様のファーからは、太陽の匂いがした。
『…で、船長室に戻ってきてしまったわけですね』
「部屋を知らないからな。落ち着くまでそこに座っていろ」
『本当に申し訳ありません…。カタクリ様の手を煩わせてばかりですね、私』
私ばかりが助けられて、幸せで、1つ恩を返す前に10与えられてしまっているような。
「そう思うなら島に着くまではデッキには出るな。兵士も少ない。海に落ちればお前を助ける人間はいないんだぞ」
『ええ、反省しています。でもそっか、海…。能力者の方は海が苦手なんでしたっけ』
「そうだ。能力者は海に嫌われているからな」
『成程…』
ほらまた。何気ない瞬間に、私に大切なものを教えてくれる。
『…ありがとうございます、カタクリ様』
「謝罪も礼ももう良い」
『助けて頂いたこともですけれど…カタクリ様のおかげで私、またひとつ目標が増えました！』
「？」
私に出来ることは小さくて、少なくて。
でもそれなら増やしていけばいいだけの話だ。
(一番はやっぱりドーナツだけど！)
失敗を繰り返さないことも勿論大切だけど、憂いすら吹き飛ばしてしまえるものを作ることが出来たなら。
『カタクリ様はお気になさらず。あ、でも今日の私の失敗ついでに…』
後悔するくらいなら、遠慮もしない。
『ドーナツ、もう少しだけ召し上がって頂けませんか？』
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
