揺れる ページ15
『うーん…』
食器を片づた後、私は外の空気を吸おうとデッキへ足を運んだ。
先程のカタクリ様の表情。一度の失敗で諦めるつもりはないけれど、理由がわからなければ同じことを繰り返してしまうかもしれない。
更なる味の追求は当然としても、原因はもっと別のところにある気がする。
(カタクリ様が嘘を吐くとも思えない)
やっぱり一番可能性があるのは城のパティシエの仕事を奪ったことや、備蓄を使ったことだろうか。
パティシエや兵士は全員納得済みだったのだけど、それでも気になるんだろうな。
実は、城のドーナツも1つずつ残してある。並べて出すのはどちらにも失礼になってしまうので、様子を見て聞いてみるつもりだった。
(けどそれも無理そう)
仕方がない。残りも全て兵士達にお願いしよう。
『幸せに…なって欲しいなあ…』
そう思うけど、やっぱりこういうのは一方通行ではいけない。
(私に出来ること…)
―ザザアッ！
突如襲った大きな波のうねりと共に、船体が大きく傾く。
『え、わっ、きゃあ！』
た、立っていられない…！
―モチッ！
『…？』
思わず目をつぶったけれど、一向に衝撃は襲ってこない。何か柔らかいものに受け止められたようだ。
(白い…これは…)
―グンッ
『って、わあっ!?』
抱き留めたものの正体に気付くより早く、身体が思い切り引っ張られる。
「お前は目を離すとすぐこれだな」
『か、カタクリ様…!?』
私を受け止めたのはカタクリ様の能力。そして引っ張られた先は。
『あ、あの…!?』
「水あめの海が起こす波は、大きく遅いから気を付けろと聞かなかったのか？」
『ごめんなさい！でも、その…！』
「まだ揺れる。捕まっていろ」
『は、はい…っ』
―ゴウン、ゴウンと何度か船体が大きく揺れると、ようやく波が過ぎ去った。
「あのまま倒れていたら頭を強打していた。お前はもう少し警戒心を…」
ようやく能力から解放される。
『し、死ぬかと思った…』
「さすがにそれは大袈裟だ…っ、おいどうした」
早鐘を打つ心臓を抑えながらへたりとその場に座り込む。
「顔が…体調が悪いなら何故すぐに…」
『ち、違うんです。これは…』
心配してくれるカタクリ様に申し訳なくなりながら、私は顔の前で手を振って否定する。
『ど、ドキドキし過ぎてしまってですね…本当にすみません…！』
引っ張られた先はカタクリ様の胸元で。そのまま抱き留められていて。
私の顔は、湯だっているという表現そのままに真っ赤に染まっていた。
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
