重大な問題 ページ14
『…そこまで仰るなら、カタクリ様のお言葉を信じます。でもカタクリ様に暗いお顔をさせてしまったのもまた事実。そこは反省させて下さい』
「…強情だな」
『事実は事実ですから。…けれど！』
思い詰めた表情から一転、強い光がAの瞳に灯る。
『次はもっと美味しいドーナツを作ってみせます！カタクリ様が幸せになるようなドーナツを！』
「次？」
『はい！私は第二の生をカタクリ様の為に使うと決めましたから。カタクリ様を幸せにすることは決して諦めません！諦めたく、ないのですが…お許し頂けますか？』
「…っ許すも何も、おれの為に作れと言ったのはおれ自身だ。今回のドーナツも美味かった。本当だ」
本当にドーナツは最高だった。問題はそこじゃない。
『理由は…お聞かせ頂けないのですね。わかりました。では、下がらせて頂きますね』
「ああ…」
言えるわけがない。こんなこと。こんな……
(【お前の膝枕がないと物足りない】だなんて！言えるか馬鹿野郎！)
自分で自分に引く。昨日のメリエンダがこれまでにないくらいの至福の時間だったことは認める。それがAがもたらしたものだと理解している。だから自分の手元に置くことを決めた。
(実際、ドーナツは一番おれ好みだ)
一日経った今食ってもそれは変わらない。技術よりも恐らく、あいつの言う【魔法】のせいだろう。
備蓄に手を出したことは問題だが、こんな美味いものを食えば咎める気も失せる。
―だというのに、物足りない。
あの柔らかさが、あの温かさが、あの甘さが欲しい。
欲求を誤魔化すようにドーナツを思い切り食べてみたが消化不良で仕方がない。
そんな自分に気付いてぞっとした。
おれにとってメリエンダは至福の時間で唯一の安らぎの時間だ。
外で完璧を徹底する分、社の中では怠惰を尽くし、欲と背徳に身を任せる。そうすることでストレスを解消してきた。
そのメリエンダが消化不良では、ストレス解消どころかむしろ余計にストレスが溜まる。
(これでAのドーナツじゃなかったらと思うと…)
いや、そうでなければここまで意識することはなかったかもしれないが。
(…大丈夫だ。じきに慣れる。耐えられる。今までだってそうしてきた)
それに、Aはおれの為に生きると言った。おれを幸せにするドーナツを作ると言った。
ドーナツだけでおれを満足させる日が来ることに期待しよう。
(余計に欲求が強くなる、なんてことにならないと良いが)
そうなればもう、手に負えない。
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露木アマナ(プロフ) - 豆腐さん» 豆腐さんコメントありがとうございます！ﾆﾏﾆﾏして頂けて嬉しいです(*´▽｀*)生きがいだなんて；；私も豆腐さんのコメントで頑張れます！本当にありがとうございます…！ (2019年4月10日 23時) (
レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - 深夜に申し訳ありません。めちゃくちゃ最高です……ﾆﾏﾆﾏが止まらなくて、この小説を読むことが、私の生きがいになっています！更新頑張ってください！ (2019年4月8日 0時) (レス) id: a9fbc04af8 (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - とうとうこちらの作品で評価500票を頂きました…！本当に、本当にありがとうございます！！ヽ(；▽；)ノ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» 今はちょっと更新が出来ていなくて３は不穏な空気が流れておりますが、またティコさんが悶えるような展開になるように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
露木アマナ(プロフ) - ティコさん» そ、そんな嬉しいお言葉を頂いていいのでしょうか…!?推しではないのに読んで下さったことも、それで悶えて下さったことも嬉しくて嬉しくて私が召されそうです…！｡・ﾟ・(ﾉ▽`)・ﾟ・｡ おかしいなんてとんでもない！こんなに沢山お言葉を伝えて下さって感激です…！ (2019年3月1日 0時) (レス) id: be3bf55a7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露木アマナ | 作成日時：2018年6月30日 8時
