傷心ボーイ ページ6
横山side。
.
A「…というわけやねん
せっかく料理教えてくれたのにごめん…」
愚痴をたっぷり踏まえて大倉に事情を説明し終えたA。
倉「いやそれは全然ええよ！
ええんやけど、
最低やなそいつ！！
何様やねん！
2流のくせしてなあ！？」
A「やんな？！
もうほんまあり得へん！
私の可愛さ分かんらんなんてまだまだやね！」
頬を膨らませてフンッとそっぽを向く。
意地っ張り。
「調子のんな」
A「いてっ」
ビシッとチョップをお見舞いすれば
ポロンと零れたひと粒の涙。
サッとそれを拭って
何事もなかったかのように振る舞うAを
俺は見逃さへんかった。
大倉は全然気付いてへんけど。
変なプライドが邪魔するんか知らんけど
振られた今でさえ素直にならんねんから
逆に大したもんやでコイツ。
今でも大好きやから苦しいって一言そう言うたらええのに。
A「でも世の中にはもっと素敵な人いっぱいおると思う」
倉「そうやでそうやで！
例えばここにおる傷心ボーイとか！」
俺の肩を両手で掴んで
気持ち悪いぐらいニカニカ笑って
Aに押し出してくる。
「なんで俺やねん」
A「マネージャーさんより好きになってくれる？」
「お前も前向きに考えんな」
A「つまんないー」
倉「もーおもんないわー横山くん」
酔っ払いのダル絡みを適当にあしらっていると
開いた個室の扉。
倉「あっ、お帰り亮ちゃんー」
錦「おん、って横山くん！
いつの間に来たん！
うわ！佐藤Aちゃんおる！本物！
ほら、唯子！Aちゃんやで！」
どっくんの後ろからピョコッと顔を覗かせた噂の唯子。
キラキラと目を輝かせてAを見つめてる。
唯子「うわー…！
本物やあ…！」
A「初めまして、佐藤Aです！」
唯子の手を握りながらふわふわ笑う。
今にも倒れそうにフラフラする唯子。
そんな彼女をどっくんが支える。
どうやら唯子は大のAファンらしい。
それを聞いたAは嬉しそうに唯子に絡みに行った。
「ごめん、コイツも酔っ払ってて」
錦「全然大丈夫っすよ！
唯子もAちゃん見たら元気出たみたいやし！」
2人は裏口の方で涼んどったから
鉢合わせしやんかったみたいで。
どっくんの言う通り
唯子のAを見る目は
まるで恋をしてるかのよう。
女まで虜にすんねんからほんま大した奴や。
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
