おらんのかーい 2017/6/22 ページ13
横山side。
.
昨日、
唯子とすっかり打ち解けたAは
元カレの愚痴を零したり
唯子の惚気を楽しそうに聞いたりしながら
ハイペースで呑むもんやからすっかりベロベロ。
挙げ句の果てには酔うた時の癖で俺にベッタリ。
正直めんどかったけど、
大倉とかどっくんに絡みに行かんかっただけええかなって受け入れた。
錦「佐藤さんって家どこなん？」
倉「それが凄いねん！
なんと！
横山くん家のお隣さん！」
唯子「え！？ずるい！」
Aに料理を教える時に
Aの家を知った大倉が自分の事のように自慢気に話す。
「俺A送るわ
これ、俺とAのん」
足りひんことがないように多めのお金をテーブルに置いて
机に突っ伏して爆睡してるAを抱きかかえる。
倉「横山くん送り狼なったらあかんで！」
「そんな大倉みたいなことせえへんわ」
.
と言ったのはついさっきのこと。
起こしても唸るだけで起きひんから
取り敢えずタクシーから降ろす。
「A鍵どこ？」
そう尋ねてみても
スースーと規則正しい寝息が聞こえるだけ。
背中に感じる彼女の体温。
首に回る手にキュッと力がこもったけど
俺の欲しい返事がかえってくることは無かった。
「どうしよか…」
玄関前で突っ立っとっても
誰に見られるか分からんし
万が一撮られたら面倒以外のなんでもない。
最近どっくん撮られたばっかりやし気ぃつけなあかん。
「しゃあない…」
一旦自分の部屋に連れて帰ることにした。
勤も充もおるし…
2人きりになるわけちゃうしな。
.
と思ったのに家に帰ると人の気配が全く無い。
玄関にはあるはずの靴も無かった。
「え、おらんの？」
あいつら何してんねんと思った矢先。
A「きもちわる…」
「え？」
やっと言葉を発したと思ったら
口に手を当てて真っ青な顔のA。
「ちょお待って！
こっち！！」
慌ててトイレに誘導する。
A「っ…」
苦しそうに目をギュウっと瞑るその端には涙が浮かんでる。
「吐き？」
首をフルフルと横に振った。
A「よごれる…」
「何言うてんねん、しんどいくせに」
頑なに吐こうとしやん。
意地っ張りやなあ…
「ちょっとごめん」
A「っ！」
彼女の口に指を突っ込む。
舌に沿わせて奥まで入れて
指先に少し力を入れて押すと
おえ、と小さくえずいた後
やっと吐いた。
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作者名：和海
| 作成日時：2017年6月16日 17時
