sugar7.坂田銀時 ページ7
『なーに作ってんの?』
私の肩口からひょっこりと顔を出した銀時は、目の前で掻き回している鍋を覗き込む。そうして「カレーだ」と呟き、「美味そうだな」と私の耳元に口を寄せた。
『もー、くすぐったいから離れてよ』
ほら、とお玉を持っていない方の手で彼を押し退ければ、たちまち不機嫌そうに唇を尖らせてしまう。
銀時は後ろから私のお腹に腕を回し、頭をグリグリと頸に押し付けていく。彼のふわふわした毛先が私の肌をくすぐって、それに耐えきれず笑いが込み上げた。
『銀時のせいでカレー作れないじゃん!』
「バカ」と彼を鼻であしらうも、銀時は私を離さずにそのまま首元の匂いを嗅ぎ始めてしまう。
まだお風呂にも入っていない上に恐らくカレー臭いだろうから、止めさせようと彼を軽く叩く。
『腹減ったー』
『はいはい』
「もう少しで出来るから」と銀時をなだめ、スプーンで鍋からカレーを掬い、口元まで運んだ。
味見と称して彼に食べさせれば、ゆっくりと味わうように食べてから口を開ける。
『……なんかよォ、どっかの店で食べるよりもお前の方が断然美味いんだよな』
「カレーだけ」と付け加える銀時の足を踏んづけてやろうかと踵を上げるが、とある雑誌で見た文を思い出す。
「一番美味しいカレーは家庭の味」
自分の手の甲を目の高さまで持ってくると、そこにはキラリと輝く銀の指輪。紙切れ一枚だけで夫婦になれた私は心のどこかで本当に銀時と家族になれるのか心配していたが、案外こんなところで証明されてしまうのか。
くくくと笑う私を怪訝そうな顔をして見てくる銀時を正面から抱きしめ、存在を直に感じる。
ちゃんと抱きしめ返してくれる彼を、私はずっと大好きでいたい。
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ハル(プロフ) - なな天パさん» いいえ〜! ね、本当に教師との恋愛って憧れるけど実際どうなのかなー、と考えながら作った結果がなんだこれって感じになってしまったのですが、そう言ってもらえるととてもありがたいです(´ ∀`) 閲覧とリクエスト、ありがとうございました (2018年1月6日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ハルさん» リクエストを受けて下さりありがとうございます!夢主ちゃんが冗談が嘘って言った後の松陽先生の確認の行動が可愛かったです。あと、最後、二人でひとつのブランケットって言うのがすっごい良かったです。全部ひっくるめて最高でした!本当にありがとうございます!! (2017年12月30日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» 儚すぎて書き終わった瞬間に「ううん」と首を捻ってしまうくらいのあれですね……(;´д`) バイオバザードとかやってたんですか? それはそれでいいクリスマスだと思いますよ!自分の好きなことをするのが一番です! こちらこそ閲覧ありがとうございました( ´ ∀`) (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» まじか!ありがとう!! もうハルとして見てもいいよ笑 どうせそっちも何にも変わらないハルだし笑 うん、頑張るね! あっちでも夢書きやってるから、また時間があったら見に来てくださいな(^人^) ありがとう (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 儚いのがまた良いですね。私好みです笑 ちゃんとクリスマスになってますよ!!こんなクリスマス…羨ましいです…。私なんて、前日も当日もゾンビから世界を守ってましたから笑 でもハルさんのお陰で最高のクリスマスになりました!!ありがとうございます! (2017年12月27日 15時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月5日 18時