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『舞い上がった私が、悪かったんですね』
『え……』
先生の言葉に耳を疑う私を彼は勢いよく抱き寄せる。そうした私にギュッと強く腕を回し、耳元で囁くように吐息を漏らす。
『私が今ここで、君に好きだと言ったら、信じてくれますか?』
そんなの、信じれる訳がないだろう。
だって私たちは、教師と生徒なのだ。
『……困らせちゃってますね』
「ごめんなさい」と頬に添えられた手。気のせいかもしれないが、冷たく震えていた。私はその手を温めたくなって自分の指を彼の指の間に入れ込んで手を握る。
そんな私の行動に目を見開いた彼だが、「気を使わなくていい」と言うように小さく首を横に振るう。
『ごめんなさい、先生。冗談っていうの、嘘なの』
再び「ごめんなさい」と謝った私を、また彼は強く抱き寄せる。そうして何度も「今度も冗談?」や「また冗談だったら怒りますよ」と念を押し、その度に私は「大丈夫」と笑ってみせた。
『君が卒業するまで待ってますから』
優しく掴まれた肩から先生の心拍数が伝道しているのか、それとも私の身体が全部心臓で出来ているのかバクバクしていて五月蝿い。
でもこの音がどうしてか心地よく、今私と彼が生きているという証でもあるのだ。
『好きだよ、A』
そう言って私の額に口づけを落とす。
口唇ではなく、そこにすることに眉をひそめてしまうも、きっと私と彼もここで終わらせておかないと自制が利かなくなるからだろう。
『私も先生が大好き』
でも甘い甘いキスだけが全てではないから。
キスしなきゃ恋人になれないわけではない。二人の間に慕情があれば、これは恋で愛なのだ。
不意に窓の外を見ると、空から白い粒が降っている。ホワイトクリスマスとは珍しく、私と先生はベランダへと出た。私と彼で一枚のブランケットを羽織り、頬をすり寄せる。
メリークリスマス。
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←sugar27.吉田松陽
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ハル(プロフ) - なな天パさん» いいえ〜! ね、本当に教師との恋愛って憧れるけど実際どうなのかなー、と考えながら作った結果がなんだこれって感じになってしまったのですが、そう言ってもらえるととてもありがたいです(´ ∀`) 閲覧とリクエスト、ありがとうございました (2018年1月6日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ハルさん» リクエストを受けて下さりありがとうございます!夢主ちゃんが冗談が嘘って言った後の松陽先生の確認の行動が可愛かったです。あと、最後、二人でひとつのブランケットって言うのがすっごい良かったです。全部ひっくるめて最高でした!本当にありがとうございます!! (2017年12月30日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» 儚すぎて書き終わった瞬間に「ううん」と首を捻ってしまうくらいのあれですね……(;´д`) バイオバザードとかやってたんですか? それはそれでいいクリスマスだと思いますよ!自分の好きなことをするのが一番です! こちらこそ閲覧ありがとうございました( ´ ∀`) (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» まじか!ありがとう!! もうハルとして見てもいいよ笑 どうせそっちも何にも変わらないハルだし笑 うん、頑張るね! あっちでも夢書きやってるから、また時間があったら見に来てくださいな(^人^) ありがとう (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 儚いのがまた良いですね。私好みです笑 ちゃんとクリスマスになってますよ!!こんなクリスマス…羨ましいです…。私なんて、前日も当日もゾンビから世界を守ってましたから笑 でもハルさんのお陰で最高のクリスマスになりました!!ありがとうございます! (2017年12月27日 15時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月5日 18時