Sweet Helloween Night【浦島坂田船】 (ページ8)

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「Aは気がついとらんかもしれんけど、俺最初に言うたんTrick or Treatやないで？」

「へ…？」

「俺がAに言うたんはTrick and Treatやからな！！」

　
そう言って、抱きついて首筋に顔をうずめてくるさかたん。
くすぐったい中にチクリと痛みがあるから私の首筋は紅い華が咲いているだろう。
それにしてもTrick and Treat……おかし、と、いたずら…？

　
「へへっ」

「ちょ、さかたん！？」

「今日は俺にいたずらされといてや！」

「…もしかして。」

「Trick and Treatの意味は、お菓子くれたらイタズラするぞなんやて！！」

　
だから俺は今日Aにいたずらし放題！なんて言いながらキスやらハグやらを
雨のように降らせてくれるさかたん、無邪気なその甘さにくらくらしてしまう…
あの人たち、何教えてくれたんだ全く……

　
「Aはちゃーんと、俺にお菓子くれたもんなぁ？」

「た、確かに……」

「俺待ってたんよ、ちゃんとイタズラできるこの日を！」

「ずるい……！」

「でも、嫌やないやろ？」

　
無邪気とは程遠い大人の笑みに何も言い返せない。
現に嫌じゃないし、むしろ歓迎しているんだから彼のことを言えた立場でもないし。
私の反応を見てか、さらに満足そうに彼は笑った。

「今日はとびきり楽しもうや？」

「…それも、そうだね。」

「ふふ、その気になってくれて嬉しいで。」

「もっともっと…楽しんじゃおう。」

「えっ……それは…反則。」

こうなったら、と私が放った言葉は彼に火をつけた様だった。
先ほどより幾分乱暴にさらに甘くなったキスに酔いしれる。
何回も、繰り返されるキスに頭がぼーっとする。
彼を見ると、まだ余裕を見せていて少しずるいと思った。

「朝まで終わらせん、俺と踊ろ？」

「ん……」

「大好きやで、A。」

「私も…好き」

直球の愛を永遠に受け取れるのなら、それも悪くない。
そう思いながら彼に身を任せ、踊らされる。

　

「もっかい言うけど…俺が言うたんはTrick and Treat、お菓子くれたんやしイタズラさせてや？」

END