Sweet Helloween Night【浦島坂田船】 (ページ6)

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「ちょ…志麻さん…！？」

「んー？」

「何してるんですか…！！」

「A喰おうとしてる。」

　
ほら、俺ゾンビやし。そんなよくわからないことを言いながらあちこちに甘噛みをしてくる。
さらされている素肌には紅が咲き乱れ、先ほどから腰が砕けて彼に体を預けていたのだが
横抱きにされて運ばれたと思ったらソファーに座らされた。

　
「よく映画とかでやるやろ？ゾンビが人間喰ってるあれ。」

「ありますけど…！」

「そゆこと。」

　
そう言いながら、足を撫で甘噛みしてくる志麻さん。
抵抗する力なんて彼によってとっくに消し去られているし
なにより、嫌いじゃないと思ってしまうあたり相当彼に毒されている。

　
「A…俺と、ずっと一緒におってくれるか？」

「…志麻さんこそ、ずっと一緒にいてくださいよ。」

「もちろん。」

「それなら、永遠に楽しもうや。」

　
抱きしめられたまま押し倒される。
お菓子もらってないけど……こんなに甘いものもらってるんだ。
これ以上甘いのはお腹いっぱい……

　
「そうや、Aさっき俺にTrick or Treatって言うたやん？」

「ですね。」

「あれって、他にもいろいろあるって知っとる？」

「え……」

　
知らない、とも知ってるとも言わなかった。
ホントのところ、複数の種類があることは知っていたし
彼がこれから言わんとしてることもなんとなくわかるんだけど。

　
「その顔は、知ってるんやな。」

「まぁ…少しは。」

「じゃあ俺がこれから言おうとしてることもわかるやろ？」

「…うん。」

「Trick yet Treat」

「だろうと思った。」

　
この意味は多分今の志麻さんにぴったりだろう。
熱を帯びた瞳で見つめられ、これを拒否することができる人が果たしているのだろうか。
…私は、無理である。

「Trick yet Treat…お菓子なんていらん、イタズラさせて？」

「ん…」

「かわいい魔女さんは、ゾンビに喰われとけ。」

　
その言葉と一緒に降り注ぐキスの雨。
甘い声が、空気が、家中を支配している……これを心地よいとか思っているあたり
私も相当やばい人間なんじゃないかと思うが、そんな考えはすぐに溶け去った。

　

「Trick yet Treat……愛しちゅうよ、A。」

　

彼に堕ちていく、悪い気はしない。
むしろ幸せだから、永遠の愛をずっと私にください。