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7話 ページ10

「判断力はあるみたいだな、早くしろ、私には時間が無いんだ。」



「待ってくれ!せめて最後に久作と話をしたい...。」



「話?弟は気を失っているのに話も何も無いだろう。」



「それでも、良いんだ...。」



気を失っている久作を体を痛めないように寝かせる。擦り傷は所々あるけど目立った怪我は無い。


「ごめんね、久作...。一緒にいるって誓ったのに。恨んでもいい。怒ってもいい。ただ生き延びてくれ。私のことなんて忘れて、どうか幸せになってくれ...。」




久作の頭を撫でて私は謎の人物と共にその場を後にした。





二度と久作の方を振り返ずに。









「あれっ?」



ここはどこだろう?体を動かそうと思ったがズキリと痛みがして上手く動かなかった。

なんだか凄く体がダルい。




「あぁ、良かった。目を覚ましたんだね。心配したんだよ。三日も目を覚まさなかったんだ。」



声のする方を見ると男がいた。男にしては長い髪に無精髭。白衣を着ている。いかにも町医者のような格好だ。


ただ目の奥にみえる闇が不釣り合いだった。




「自分の名前は言えるかい?路地裏に倒れていたんだよ。」


男は目尻を下げて微笑みながら言う。








僕は....









誰だっけ?

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作者名:甘雨 | 作成日時:2019年11月4日 11時

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