Sweet Fate (ページ8)

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「大光の好きな人？知らないなあ。」

最近やたらと周りの女子達から大光の好きな人を聞かれるようになった。

大光とは恋愛の話なんて一切しないから、そもそも好きな人がいるのか知らない。

…もしかしたら彼女がいるのかも。

いやでも私とこんなに絡んでるからいなさそう。

もし彼女がいたらとんでもなく申し訳無い。

『そうなんだぁ。リサーチできそうだったらして欲しい！』

なんて頼まれたけど、もし大光に好きな人がいるって知ったら私が1番傷ついてしまうかも。

雲１つ無い晴天とは裏腹に、私の気持ちはどんより曇っていた。

重たい足をなんとか動かし、大光の元へ向かう。

そもそも大光の好きな女性のタイプってなんだろ？

大光があんなんだからきっとしっかりしたお姉さんみたいな人が合っているのかな。

あぁ、昔歳上がいいって言っていたような気がしなくもない。

当時も大光の好きな女の子のことなんて聞きたくなくて、ふーんって流したけど。

『…おっ、と！』

「きゃっ！ごめんなさ、、、あ！！」

いるかもわからない大光の好きな人のことをぐるぐると考えていたせいか、目の前の人に気が付かずぶつかってしまった。

咄嗟に謝罪の言葉が出たが、ぶつかった相手の顔を見て心が弾んだ。

「れ…！中村先輩！！」

いつも遠くから見ているだけでも幸せになれる嶺亜先輩(絡んだ事は無いくせにちゃっかり下の名前呼び)が私の目の前に！

しかもぶつかった！あの神聖な嶺亜先輩に事故とはいえ触れてしまった！！

『俺のこと知ってるの？』

「もちろんですっ！もうお顔が綺麗で天才すぎて！こんな近くにいることが申し訳ないくらい…！」

『あはは！めーっちゃ俺の顔好きなんだねえ』

くしゃっと笑う嶺亜先輩の顔も美しすぎて、もしこの場面を誰かが盗撮していたら高値で写真を買い取りたいくらいだ。

てか肌めっちゃ白いし綺麗。毛穴無くない？

『名前なに？』

「七瀬Aと申します！」

『Aちゃんね！覚えた！』

少し話して、去り際にはじゃーねーって手まで振ってくれた。

嶺亜先輩尊い〜！

さっきまであんなに気持ちがブルーだったのに推しのパワーすごすぎる！

鼻歌を歌いながら教室へ戻ると、自分の席に座りながら外を眺めている大光がいた。

「ねえ大光、」

『何？』

その声はいつもより低くて、顔もしかめっ面で、明らかにピリピリしていて不機嫌なのが伝わった。

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